◆闘病中の小物作りきっかけに
 難病で亡くなった姉とかなえたかった夢を実現しようと、熊野市神川町の清水由子さん(46)が同市久生屋町に雑貨店を開いた。友人の後押し、協力もあってのことで、「自分一人では絶対無理だった」と支援に感謝している。
 仲の良かった八歳上の姉、南弘子さんは二〇〇一年ごろ、全身の筋力が低下する「重症筋無力症」を発症した。御浜町下市木に住む家族は夫と子ども三人。子どもは当時まだ小学生と中学生だった。
 入退院を繰り返し、ふさぎがちになる姉に、由子さんは小物作りをしたらどうかと助言。姉が裁縫好きだったため「ちょっとでも病のことを忘れてほしかった」ためだ。
 弘子さんは髪飾りやポーチなどを作り始め、知人の会社の一角で披露することに。地元作家が手掛けた人形やアクセサリー、棚なども同時に並べた。イベント名は「Deko de Deko(デコデデコ)」。額の広かった高校時代のあだ名「でこちゃん」から取った。事情を聞いた由子さんの友人、知人が運営を手伝った。
 週末二日間を年四回、催しを実施する中、姉妹は次第に雑貨店を営む夢を語り合うようになった。「私は雑貨。お姉ちゃんはカフェをやってね」。由子さんが言えば、弘子さんは「料理本を買わないと」と目を輝かせた。
 しかし一一年八月。姉は四十八歳で人生の幕を下ろした。その後の展示会は一回きり。「もうやらないの」と聞かれても気力がわかない。泣いてばかりいたところ「雑貨店やろう」と友人が言った。事務機器販売業の井口清晶さん(52)=有馬町=は「由子さんは長い間落ち込んでた。お姉さんが見たらきっと悲しむと感じた」。周囲の言葉に背中を押され、前を向いた。
 お店のデザインは姉妹の母校である旧神上中学校の木造校舎をイメージし、床や壁は木目を生かして窓も木枠と趣向を凝らした。昨年七月に工事が始まり、基礎部分はプロに任せ、友人十三人が週末になると床材の塗装、壁塗り、窓のフィルム貼りなどを手伝った。
 今年三月に完成した店の名は姉をしのんで「Deko de Deko」。三十五平方メートルの店舗は半分を使ってコーヒーカップ、アクセサリー、靴などを並べる。残り半分はカフェにする予定で、仲間に料理を振る舞うことを今から楽しみにしている。営業時間は午前十時〜午後七時。水曜休み。(問)同店=0597(80)0008
(福永保典)