県は一日、マダニが媒介するウイルス性感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に、県内の八十代男性が感染したと発表した。マダニにかまれると感染して死に至ることもある病気で、県内では初確認。男性の症状は回復に向かっているという。
 男性は、県二州健康福祉センターの管内(敦賀、美浜、若狭の三市町)に住み、七月二十七日に発熱や食欲不振を訴えて、地域の医療機関に入院。マダニによるウイルス性感染症の特徴である血小板と白血球の減少も見られたため、血液検査をした結果、三十一日に感染が判明した。
 男性への感染経路は不明だが、二十日に山際の畑で農作業をしており、その際にマダニにかまれた可能性があるという。
 県によると、マダニによるウイルス性感染症はこれまで西日本を中心に、石川県など二十二府県で発生している。患者数は計二百六十六人で平均年齢は七三・五歳、うち五十七人が死亡している。
◆山では身を守ろう
 マダニは、家ダニと異なり、シカやイノシシなど野生生物が出没する環境に多く生息している。県内でマダニによるウイルス性感染症が初確認されたことを受け、県は「山際で農作業をしたり、山でキャンプをしたりする際は、肌の露出が少ない服装で」と予防を呼び掛けている。
 SFTSは、二〇一三年一月に国内で初めて山口県で患者の死亡が報告された。マダニにかまれると六日から二週間の潜伏期間を経て、風邪に似た症状が出る。マダニ媒介の感染症を研究している福井大医学部の矢野泰弘助教(58)は「体力のない高齢者は感染しやすい。新しい病気のため、治療薬はまだない」と説明する。
 まずはマダニから身を守ることが大切だ。県は、森や山近くの草むらに近づく際には▽長袖、長ズボンの着用▽手足や靴への虫よけスプレー散布▽屋内作業後の入浴で体にマダニが付着していないかチェック−するよう呼び掛けている。
 マダニの中でもウイルスを持つのは一部で、矢野助教は「県内は患者発生数の多い他府県に比べて、マダニのウイルス保有率が濃厚でないのかもしれない」と推測。SFTSの致死率は10〜30%といわれ「慎重な対処は必要。山などに行った後に体調を崩したら、早めに病院に行くべきだ」と助言する。

 (尾嶋隆宏)