名古屋城天守閣の木造復元を巡り、市は一日の市議会経済水道委員会で、二〇二二年末の完成予定から遅れる可能性に初めて言及した。有識者から国の特別史跡である天守台石垣の損傷状況を調査した上で、復元工事開始前の修理を求める意見が相次いでおり、市側は「工程の見直しもあり得る」と述べた。
 この日の現場視察で、市の担当者は一九四五(昭和二十)年の米軍による空襲でひびの入った外側の石垣や、五九年の現天守閣の再建前にコンクリートで補修されたとみられる内側部分を案内した。
 市は、天守閣完成後に石垣を本格整備する復元工程案を示している。これに対し、石垣整備を検討する有識者会議メンバーの千田嘉博・奈良大教授は、天守閣の木造復元について「石垣に本質的な価値がある。必要があれば、石垣を修理した上で議論するべきだ」と主張した。
 西川学議員(自民)と中川貴元議員(同)から、石垣の調査や修理に時間がかかった場合の対応を問われると、西野輝一・名古屋城総合事務所長が「工程を見直すこともあり得る」と答弁し、渡辺正則・観光文化交流局長も「施工者の竹中工務店とも相談したい」と述べた。
 市は今月九日、石垣整備に関する有識者会議で了承を得た上で、月内にも文化庁に石垣周辺の発掘調査や、地盤状況を確認するボーリング調査に向け、許可を申請する考えも明らかにした。
 (安田功)