◆乳剤散布1回で
 静岡県森林・林業研究センター(浜松市浜北区)は、既存の乳剤を一回散布するだけで、スギ花粉を八割ほど減少させる手法を開発した。センターはほかの研究機関とともに、乳剤を二〇二二年までに微生物農薬として登録することを目指しており、国民病ともいわれる花粉症の抑制が期待される。
 乳剤は国立研究開発法人森林研究・整備機構(茨城県)が開発した。雄花が枯死する黒点病を発症させるカビの仲間が入っている。
 これまでは、ハンドスプレーなどを使った研究用としてしか利用がなかった。センターの山田晋也上席研究員(40)らは二〇一四年から、実用化に向けて人家に近いスギ林での散布を想定し、地上散布の方法を研究してきた。
 山田さんによると、幹から伸びた枝一本当たり、五十〜百ccを散布することで、二〜三カ月で雄花の八割が枯死して黒くなり、花粉が飛ばなくなることを突き止めた。薬剤が五十cc以下だと、枯死する雄花は三〜五割程度に減少。逆に百cc以上では、効果はほとんど変わらなかった。
 スギの木の高さが十メートル以下の場合は、薬剤をタンクに入れて背負って、動力噴霧器で散布する。十メートルを超える場所は無人ヘリコプターなどを使うという。
 機構によると、乳剤は雄花を枯らすだけで、枝や葉の成長、ほかの植物への影響はないという。
 山田さんは「乳剤の効果は長くは続かないことから、今後は散布翌年以降も効果が続く菌の発見を続けたい」としている。
(宮沢輝明)