通訳ガイドを終え、おじぎをすると、大きな拍手が起こる。富山県砺波市のチューリップPR施設、チューリップ四季彩館の売店に勤める台湾・台北市出身の平井くるみさん(52)=砺波市庄川町=は市観光協会の臨時職員。年々増加し、今や年間一万人を超える台湾の観光客を笑顔で迎える。(山森保)
四季彩館で大活躍
 「あなたがいてよかった」。そんな言葉を掛けてもらうと励みになる。駅まで道案内したり、タクシーを呼んだり。お客と一緒に記念写真に納まることも。勤務して二年半。売店の売り上げは二倍に増えた。
 きっかけは市広報の短い募集記事だった。結婚を機に来日して十年目。勤めていた市内の温泉旅館が業績不振で失業したタイミングだった。仕事は市の一大イベント・となみチューリップフェアの通訳のアルバイト。思い切って応募すると即採用された。
 「皆さん、そろろそ台湾華語(台湾で話されている中国語)が恋しくなったのでは」。台湾の団体客に気さくに呼び掛けるとびっくりされる。名札は「平井くるみ」だからだ。「子どものころから台湾華語を勉強しています」。こう続けると、満面の笑みが返ってくる。「五千円以上だと免税になるから、まとめて買って空港で分けて」。こんな助言も、売り上げ増や人気の秘密だ。
 「本当は台湾に帰るつもりでした」。来日一年目は車の免許証もなく、自宅にこもりっきり。この時が一番つらかった。だが、今では同僚らに愛され「一緒に外食する友達もできた。女子会です」と笑う。「外の世界はきれいやなと感じた。自分の居場所を見つけた」
 館内ガイドのほか、中国語表記の看板の作製、ホームページやガイドブックの編集もこなす。昨年、県産チューリップ球根を台湾に輸出した際には現地で通訳するなど貢献。活躍の場を広げ、生き生きと働く喜びをかみしめている。