日本貿易振興機構(ジェトロ)が、県内で初めての出先機関「滋賀貿易情報センター」を彦根市の彦根商工会議所内に設けた。湖東、湖北地域をはじめ、これまでよりも海外進出を図る企業の支援をしやすくなる。道法清隆所長(40)は「農畜水産や水環境ビジネスなど、強みがある多彩な企業を後押ししたい」と語る。
 滋賀センターは七月三日、所長はじめ職員五人態勢でスタートした。相談を受けたい県内企業はこれまで、京都センターや大阪本部の事務所まで足を運ばねばならなかったため、格段に使いやすくなった。
 これまでのところ、欧州への農産物の輸出や中国での貿易手続きなど、一日あたり二、三件の相談を受け、ほぼ想定通りの利用があるという。
 道法所長は、県内製造業の強みの一つに、琵琶湖の保全を通じて培われてきた水環境ビジネスを挙げる。十月に長浜市で開かれる環境産業の総合見本市「びわ湖環境ビジネスメッセ」に合わせ、インドや東南アジアの販売会社などを商談に招く。
 滋賀を代表する食品の近江牛や近江茶などは、県と連携して販路拡大を進める。近江上布、真綿といった天然素材は品質が良く、欧州や東南アジアなどで注目されている。「高い価格を保つため、ブランド化を進めなければならない」と力を込める。
 甲賀市に海外のメディアやブロガーを招き、信楽焼などの魅力を発信してもらうほか、あらゆるものをインターネットにつなぐ「IoT」の外資系企業を県内に呼び込む取り組みなども進める。
 海外進出している滋賀の企業数は、ジェトロの把握分で延べ百八十八社あり、製造業が大半を占める。道法所長は、米国・ハワイに近江ちゃんぽんの専門店を出店した「ドリームフーズ」(彦根市)を例に、「サービス業や地場産業の海外進出ももっと見込める」と強調する。

 (木造康博)
 <どうほう・きよたか> 横浜市出身。東京外大卒業後、ジェトロに入った。岩手をはじめ、ベトナム・ホーチミン、カンボジア・プノンペンなどで進出企業の情報提供やコンサルティングを手掛けた。