◆浜松の自転車店主ら、大火義援金届ける
 昨年十二月に大火に見舞われた新潟県糸魚川市を目指し、浜松市の自転車店主ら愛好家五十人ほどが四日、四百キロ超の銀輪旅に出る。糸魚川へのツアーは三十年以上続く夏の恒例行事だが、今回は、メンバーが復興を願って義援金集めを発案。ペダルをこいで善意を届けることになった。
 浜松市中区船越町で「イチヤサイクルセンター」を経営する樋沢秀高さん(66)は三十二年前、日本アルプスを越えて日本海側へ抜ける、ロマンある「糸魚川サバイバルツアー」を始めた。人気を集め、これまで延べ千人が参加した。
 四百十キロ北上するコースの高低差は約千メートルに及び、上り下りも激しい。イチヤサイクルセンターを起点に愛知県新城市を通り、長野県境の新野(にいの)峠(標高一、〇六〇メートル)を走り抜け、長野県飯田市と新潟県上越市を経て、糸魚川市の姫川みなと公園にゴールする。
 糸魚川が目的地になったのは、距離や所要時間を考えるとちょうど良かったから。ささいなきっかけだったが、長年続けているうちに、メンバーの中に糸魚川に対する愛着が自然に生まれた。
 義援金集めを提案したのは、これまでツアーに五回ほど参加した、浜松市中区鴨江町の医師斎藤英彦さん(76)。新潟県燕市出身で、糸魚川の病院に勤務した経験もあった。「居ても立ってもいられなかった」と樋沢さんに呼びかけ、センターの常連客らに義援金を募ってもらった。
 浜松市南区安松町の安川康男さん(75)はツアー後に海水浴場で泳ぐのを楽しみに、これまで二十四回参加。「自然豊かで、良い景色が出迎えてくれるのが最高」と言う。それだけに、何度も見てきた町並みが焼けた映像にショックを受けた。今回、「被災地を自分の目で見てみたい」と最高齢で挑戦する。
 静岡や三重、東京などの愛好家五十三人が参加。四日夕から夜にかけて浜松を出発、一部は途中の飯田市から加わる。糸魚川には五日夕に到着し、五十人以上が寄せた義援金約十万円を市職員に手渡す予定。樋沢さんは「糸魚川には感謝の思いでいっぱい。笑顔で完走し、元気も届けられるようにしたい」と話す。

(鈴木凜平)
<糸魚川大火> 2016年12月22日午前10時20分ごろ、新潟県糸魚川市中心部のラーメン店から出火。火は強い南風にあおられて次々に燃え移り、古い木造住宅の密集する地域など約3万平方メートル、建物147棟を焼き、約30時間後に鎮火した。負傷者は17人。原因はこんろの消し忘れとみられ、ラーメン店の元店主が業務上失火の罪で在宅起訴された。