強豪相手に接戦を繰り広げてしぶとく勝ち抜き、四年ぶり二回目の夏の甲子園の切符を勝ち取った彦根東。新チームが誕生して初の公式戦となった昨秋の県大会で一回戦負けしたチームの成長は、冬の練習にあった。全国高校野球選手権大会が七日に開幕するのを前に、今年のチームの足跡をたどった。
 「今年はいけるぞという手応えがあった」。新チームが誕生して直後の昨夏の様子を、松井拓真主将(三年)はこう振り返る。練習試合では、近年にない好成績を収めていた。
 だが、自信をつけて臨んだ昨秋の県大会。甲子園出場経験のある八幡商を相手に先制点を挙げたが守り切れず、初戦敗退という現実を突きつけられた。
 「何かが足りなかったが、それが何か分からなかった」と松井主将。手探りの状態で冬を迎えた。
 監督やコーチから助言をもらわず、選手たちのみでミーティングを重ねた。自分たちだけでまずは考えようとしたためだ。夏を見据えた体力づくりを目指し、選手一人一人の体に合った適正体重や筋力を測って目標とし、厳しい食事制限を課すこととした。
 地元の佐和山で坂道ダッシュを十五本走り、その直後に素振りに取り組むなど、地道に基礎体力を付けた。一番打者の原晟也内野手(三年)は「一番しんどい練習だった。足が動かなくなる思いも何度もした」とその厳しさを表現する。
 練習環境も強豪校のように恵まれている訳ではない。学内のグラウンドはサッカー部と共同で使用。グラウンドも狭く、内外野の簡単なノック程度しかできないため、県立彦根球場や彦根市地蔵町の「彦根バッティングセンター」にある室内練習場を借りて、フリー打撃などをしてきた。
 ひと冬を越すと選手の体つきは以前とは比べものにならないがっちりとした体形に。けがをしにくくなり、振りのするどさや動きにキレが出てきた。迎えた春の県大会では優勝。近畿大会では強豪・大阪桐蔭と善戦するなど、結果が付いてきた。
 松井主将は「手探りの状態で進めた練習が間違っていなかったと結果で証明できた。冬の厳しい練習で、チームが精神的にも肉体的にも成長できた」と述べ、甲子園に闘志を燃やす。

 (大橋貴史)