富山県の伝統食・ます寿(ず)しに使われるサクラマスの成長や健康を超音波で増進させて死ぬ率を減らす実験が、養殖に取り組む同県立滑川高校(滑川市)で始まった。県立大工学部(射水市)との共同研究。超音波の発生装置を九月中旬までほぼ毎日起動させ、好影響を立証し、養殖産業への貢献を目指す。サクラマスを対象にした同様の実験は世界的に前例がないという。(山本真士)
 県立大によると、超音波は動物の細胞を刺激し、骨を強くしたり、血行を良くしたりする効果があるとされる。ただ、動物の種類や目的により作用する周波数や周期は異なり、個別の条件は未解明の部分が多い。
 実験の装置は県立大が製作した。水に浮かせることで、一・五メガヘルツと三メガヘルツの二種類の周波数を水中に伝えられる。装置あり、装置なし、超音波を発生しないダミー装置ありの三通りの水槽を用意。それぞれに幼魚六十匹を放している。
 週五日、一日二十分間、超音波を発生させ、同校海洋生物部の部員が体長の変化と死ぬ率を記録する。
 実験は県内の産業に貢献できるとして着手。サクラマスは、動物実験で頻繁に使われるマウスに比べ、雌一匹から生まれる子どもが多く、遺伝的に近い個体を大量に扱える利点もある。
 県立大は、堀岡養殖漁業協同組合(射水市)と共同で類似の実験をしてきたが、水槽が大きく超音波が届きにくかったため、思うような成果が出なかった。同大の唐木智明准教授は「サクラマスは暑さに弱く、夏場の養殖は難しい。超音波の刺激で暑さに耐えやすくなれば、養殖産業に与えるインパクトは大きい」と話している。