二〇二〇年の東京五輪に向けてホテル用ワゴンの需要が高まっている。ワゴン製造のトップメーカー、金沢車両(金沢市)の小倉宏允社長は「その後が重要」と指摘し、五輪後を見据えている。海外販売の強化と新商品を積極的に投入する戦略を持つ。 (嶋村光希子)
 −現在の受注状況は。
 一九年までホテル向けの需要が旺盛で、受注対応が大変。ただ、浮かれた状況より、その後の需要に危機感もある。海外展開の強化と新商品の投入の二本柱で進めていきたい。
 −海外展開はどう進めるのか。
 現在は国内シェア九割ほど。これでは日本の景気次第で当社の業績が左右される。売上高に占める海外比率を現在の約3%から二二年までに10%に引き上げる。製品は高性能に加え、溶接や梱包(こんぽう)が丁寧など「メード・イン・ジャパン」の信頼は厚い。自社のノウハウがどこまで海外で通じるか挑戦する。十年ほど前から始めた輸出は欧州や中東など七カ国。今後はフィリピンやベトナムなど東南アジアに注目している。現地の事情に詳しい現地法人と手を結びたい。
 −新商品の投入は。
 営業職の社員に取引先からの要望を吸い上げて、一人二アイテムの新商品を考案してもらっている。喜んでもらえる商品が基本との思いから、最もお客さまと接する社員が考えている。最近のホテルは宿泊特化型以外に独特なコンセプトを掲げる施設が増えている。大量生産でなく小量受注の強みとして、デザインや素材にこだわり、付加価値の高い商品を提案したい。最近ではJR西日本の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」の車内販売用のワゴンにも採用された。今後も特注製品に積極的に応えていきたい。
 −ワゴン以外の事業はどうか。
 不動産事業に力を入れ、完全禁煙の賃貸マンションは嫌煙家に好評だ。二〇年には自社マンションを新築する予定。当社は内部留保による無借金経営を心掛けている。以前から週休二日制や残業禁止を呼びかけており、引き続き働き方改革を進める。優先順位を考え、効率良く動けばうまくやっていけるはず。家族と過ごすなど私生活を充実させてこそ、仕事にも活気が出ると考えている。
 −四代目の社長に就任して一年半が過ぎた。
 就任後、二十アイテムを投入できた。新たな仕様変更も含めると数百種にのぼる。これも三代目までのノウハウが蓄積されているからできること。歴代の社長の意志を引き継ぎ、温故知新の精神で、自分のカラーを出していきたい。
会社メモ 
 1932年創業。大八車や二輪などの農機具製造を経てホテル業界向けワゴンの製造に参入。物流や医療業界など向けのワゴンも手がける。ホテルやレストラン用のサービスワゴンで国内最大手。2016年12月期の売上高は過去最高の20億円超。従業員は26人。