液体の中で原子が動く様子を観察できる高性能の顕微鏡を、金沢大の電子情報学系の福間剛士教授とバイオAFM先端研究センターの宮田一輝助教らが開発した。この顕微鏡を使い、カルサイトという鉱物が水に溶ける仕組みを原子レベルで解き明かした。さまざまな結晶の成長や溶解、金属の腐食といった現象が観察でき、幅広い研究や産業に役立つと期待される。(日下部弘太)
 フィンランドの大学との共同研究。成果は米国化学会のナノテクノロジー(超微細技術)に関する雑誌「ナノ・レターズ」のオンライン版に掲載された。
 これまで、原子レベルの細かさで動きを見られる顕微鏡はなかった。原子を観察できる顕微鏡は一分に一枚程度しか画像を撮れず、動きは追えなかった。福間教授らは長年かけ、一秒に一枚撮れるように改良。原子の動きまでつかむことが可能になった。
 カルサイトは方解石(ほうかいせき)とも呼ばれ、炭酸カルシウムの結晶。地球上に最も多く存在する鉱物で、炭素を含むため、溶解や生成は酸性雨、地球温暖化などにも影響するとされる。
 今回、福間教授らは原子レベルの観察から、四段階の複雑なプロセスをたどって炭酸カルシウムが水酸化カルシウムに変わり、溶けることを解明。細かな仕組みが分かったことで、将来的に地球規模のさまざまな現象の予測精度の向上につながりそうだ。福間教授は「カルサイトの溶解だけでなく、さまざまな現象の解明につながれば」と話した。