◆彦根東6−5波佐見
 彦根東は開幕試合で長崎代表の波佐見と対戦し、劇的な逆転サヨナラ勝ちを飾った。八日に始まった第九十九回全国高校野球選手権大会。公立校同士の一戦はともに一歩も譲らず、目が離せない展開に。1点を追う彦根東が九回に粘って同点とし、2死一、二塁から岩本の右前適時打で試合を決めた。彦根東は春夏合わせて五回目の甲子園出場で、念願の初勝利を収めた。
◆研究が生んだ一発 吉本選手
 「赤鬼旋風」を予感させるベンチとスタンド、選手が一丸となった念願の初勝利だった。中盤までの流れをつくったのは、三回に豪快な逆転本塁打を放った吉本孝祐選手(三年)。一日の順延で得られた貴重な情報を生かし、仲間たちの努力に応えた。
 ベンチ外の野球部員松本慎道さん(三年)が中心となり、相手チームの映像を見て事前に研究。走者を背負った時の投手の癖を七日に見つけ、選手に報告していた。セットポジションに入った際、投球前にグラブを構える位置がわずかに変化するのを見逃さなかった。松本さんは「順延があったから、精密な研究ができた」と話した。
 選手は、報告を頭に入れて試合に臨んだ。1点差で迎えた三回。2死一、三塁の好機で吉本選手は甘く入った変化球を確実に仕留めた。放った打球は左翼席に高々と上がり、逆転の3点本塁打に。「報告通りだった。おかげで、迷いなく振り切れた」と会心の一打を振り返った。
 スタンドで見守った父の賢一さん(47)は、「小さい時から野球一筋で、やめたいとか聞いたことがない。息子の本塁打を大舞台で初めて見られた」と興奮を隠せなかった。
 県大会の五試合で、チーム一の9打点を挙げ、勝負強い打撃でチームをけん引。村中隆之監督は試合前、「チームでは一番バットを振れている」と期待していた。
 九回の劇的な逆転も含め、チームのまとまりが呼び込んだ甲子園初勝利。吉本選手は「ベンチ内外含めて彦根東ナイン。総力戦でこれからも戦っていく」と力強く次を見据えた。

 (大橋貴史)
◆歴史打ち破った
 <彦根東・村中隆之監督> 代打の松井が最後の最後に先陣を切ってくれた。魂のヒットだったと思う。彦根東高校が、甲子園で一つも勝っていなかった歴史を打ち破る価値ある一勝だった。応援の皆さんのおかげです。
◆諦めず最後1点
 <彦根東・松井拓真主将> (九回の代打は)ストライクを取りに来た直球を思いっきり振った。結果で応えようと思った。後半勝負のスタイルのチーム。みんなが諦めずにやった結果が最後の1点につながった。
◆粘り想定超した
 <波佐見・得永健監督> 終盤、投手に球威がなくなっても、リードをしていたので、ゆとりをもって守っていこうとしたが、やられた。九回の粘りは想定していたが、それを超す本当に粘り強いチームだった。
◆日本一目指して
 <波佐見・浜田倫主将> 三回に自分のミスから攻撃され、本塁打を打たれた。相手には勢いがあり、終盤に球威が落ちても、たたけなかった。本当に悔しい。彦根東には思い切りのいい試合で、日本一を目指してほしい。