台風5号による突風被害から一夜明けた八日、豊橋市前芝町では、散乱した家屋の瓦やガラスを片付ける作業が始まった。被災した住民らは、照りつける日差しの中、がれきの撤去に追われた。気象庁による現地調査で、突風は竜巻と推定されることも分かった。
 同町の大場行男さん(64)方では、妻町子さん(60)と孫の前芝小学校六年望月翼君(12)=同市西浜町=らが、屋根から飛び散った瓦を拾い集めた。タオルを頭に巻いて片付けを手伝った望月君は「とてもひどい。最悪」と、額に汗をにじませた。
 町子さんは「洋服にもガラスが飛び散り、着られないほど。結婚してから三十六年間住んだ家が手も付けられない状態になるとは」と無念そうに語った。
 同町の近藤直子さん(43)は自宅に大きな被害はなく、知人方の片付けを手伝った。「暑い中、慣れない作業で大変だったが、被害に遭った人を思うとそんなことも言っていられない」と話した。
 一六六九(寛文九)年の建設で、国内で二番目に古い木造瓦ぶきの灯台「前芝の灯明台」(前芝町)も、屋根瓦が飛び、木製の戸が割れた。市教委の学芸専門員小林久彦さん(54)は「歴史的価値のある史跡。三十年ほど見守ってきたが、ここまでの被害は見たことがない」と話した。
 前芝町の隣の豊川市御津町でも、民家四棟の屋根瓦が飛んだり、割れたりした。
 調査班として豊橋市に派遣された名古屋地方気象台の職員三人は、竜巻が発生したとみられる同市高洲町から前芝町までの約三キロをたどり、被害状況を調査した。調査班によると、竜巻は七日午後四時半ごろ、台風周辺の積乱雲が市内に流れ込み、発生したとみられる。
 (高橋雪花)