金沢市内への移転が決まっている東京国立近代美術館工芸館(東京都千代田区)について、国などが、名称や機能を金沢に一本化させる方向で調整していることが、関係者らへの取材で分かった。約三千七百点の全収蔵品は最大で六割の作品を移す。現工芸館は今の名称が外され、金沢に造られる新施設だけが「工芸館」と名乗る見通し。
 移転を巡っては、現工芸館を残し金沢を分館とするのか、全面移転するのかが焦点だった。国はこれまで全面移転に慎重だったが、地元の意向が大きく反映される見込みとなった。
 新施設は組織上、「東京国立近代美術館工芸館」となるが、「東京」の地名が残るため、地元金沢に合うよう愛称をつける。
 工芸館の館長職は現在なく、工芸館の責任者は近代美術館の工芸課長。このため工芸課長が金沢で在職する見込み。これとは別に名誉館長を置く可能性もある。
 文化庁などは今月末にも具体的な通称や作品数、職員の配置など基本方針を公表する。現工芸館にも作品が残る形で、管理する近代美術館本館が今後、活用方法を検討する。
 新たな建物は、現工芸館と同程度の延べ床面積約二千五百平方メートルを確保する方針で、県が中心になって実施設計している。国の登録有形文化財である旧陸軍第九師団司令部庁舎と旧陸軍金沢偕行社の外観を活用し、県立美術館などが立地する兼六園周辺に建設することが決まっている。
 文化庁、独立行政法人国立美術館、石川県、金沢市が昨年八月に工芸館を石川への移転で基本合意し、具体的な移転のあり方を国と地元の双方が協議してきた。今年七月には、国立美術館の柳原正樹理事長が「(県立美術館の近くに)工芸館が行くとなると、誰も来ない場所になる。どう活性化するかが頭の痛いところ」と発言し、谷本正憲知事らに謝罪した。 (並木智子)
 東京国立近代美術館の工芸館の移転 地方創生推進のための政府関係機関の地方移転で、金沢市の石川県立美術館といしかわ赤レンガミュージアムの間の敷地に整備することなどが決まった。2020年の東京五輪・パラリンピックの開催時期をめどに開館し、県と市が協力して独立行政法人国立美術館が運営する。