八日にあった第九十九回全国高校野球選手権大会の開幕戦で、甲子園初白星を挙げた県代表の彦根東。勝利の余韻が残る九日、野球部員が足を運ぶ彦根市の飲食店でも、祝福の声が上がっていた。
 選手たちが練習帰りに立ち寄る同市旭町の「八千代」。店主の浅井宏さん(64)は、彦根東ナインの奮闘を映す店内のテレビから、目が離せなくなった。1点を争う展開が終盤まで続いていた。
 九回裏、同点に追いつき、四番の岩本道徳選手(三年)が逆転サヨナラ打を放つと大歓声が響いた。「やったぞ」。二階席を含め、満員になった店内の興奮は最高潮に達した。
 二十一世紀枠で春の甲子園大会に出場した二〇〇九年ごろから、練習後の部員たちが店に通い始めた。多くが塾に通っており、家に帰る時間が遅くなるため、夕飯を店で食べるようになったという。以来、野球部の“胃袋”を支える存在だ。
 八日の試合、代打で貴重なヒットを放った松井拓真主将(三年)は「行くと、ご飯を大盛りにしてくれる。歓迎してくれて、選手は力になっている」と話す。選手から人気の定番メニューは「とんかつ定食」。浅井さんの好意で、総菜をサービスすることもある。
 県大会を勝ち抜き、甲子園出場を決めた翌日には、祝勝会が同店であり、選手が「最後まで諦めない野球をします」と伝えていた。浅井さんは「まさに有言実行。頑張っている姿を見せてくれてうれしい。優勝旗を持って帰ってきてほしい」と声を弾ませた。
 (大橋貴史、安江紗那子)