桑名市矢田の真言宗寺院「観学寺」に安置されているびんづる(賓頭盧)像が修復された。近くに住む伊藤公子さん(88)が、傷んだ姿を見かね、神戸市の仏師に自費で依頼した。
 びんづるは釈迦(しゃか)の弟子の一人。治したいところを触ると、健康になる御利益があるとされる。参拝者たちが長年触り続けたため漆が剥げ落ち、西日が当たる背中は変色してしまっていたという。
 伊藤さんは六十歳から「これからは健康が第一」と毎朝参拝し「元気に米寿を迎えられたお礼に」とびんづるさんの修復を思い立った。像の中から明治初期に作られた旨のメモが見つかり、直すのは初めてだったという。
 友人の加藤志げ子さん(91)も「せっかくびんづるさんがきれいになったから」と、本堂全体に敷くカーペットを寄進した。
 九、十日は年に一度の祭礼「十日観音」が催されている。伊藤さんと加藤さんは「昔は臨時電車が出てにぎやかだったけど、今は訪れる人が少なく、寂しい限り。観音さんとびんづるさんをお参りに来てほしい」と話す。
 観学寺は奈良時代の創建とされ、江戸時代の桑名藩主松平定重が再建した。本尊の千手観音像は県文化財に指定されている。

 (遠藤康訓)