信州大教育学部(長野市西長野)にある国登録有形文化財で、一八九五(明治二十八)年に建設された「旧長野県庁書籍庫」が、ホールなどを備えた多目的施設に改修され、十一日に完成式があった。同学部三十周年の記念事業で今後は「赤煉瓦(れんが)館」の名前で同窓会員や学生が会議やミニコンサートなどに活用する。
 旧書籍庫はれんが造りの二階建てで、延べ床百二十平方メートル。県庁が現在の教育学部の場所にあった時代に県施設の一つとして建設された。一九〇八(明治四十一)年に県庁舎が全焼した火災でも焼失をまぬがれ、教育学部の前身の県師範学校に譲り渡されて、百年以上にわたって書庫に使われてきた。信州大の五キャンパスにある建物の中では最も古い。
 十九世紀から残る貴重な赤れんが建築として二〇〇八年に国有形文化財に登録されたが、一四年の長野北部地震で内壁が崩落して使えなくなり、同学部同窓会が記念事業の一環で内部を改修し、耐震化も施した。事業費は四千七百万円。
 式典ではテープカットで完成を祝った後、同窓生や近くの住民らが内部を見学した。二階のホールではピアノの演奏もあった。土屋聖史同窓会長(62)は「外見は昔のまま、中はレトロな空間になった。これからの教育学部のシンボルになってほしい」と話した。
 信州大には、医学部(松本市)と繊維学部(上田市)に一九一〇年前後に建設された赤れんが倉庫があり、これらも国有形文化財に指定されている。

 (今井智文)