八年ぶりの日本一を目指した選手らの夢は届かなかった。第九十九回全国高校野球選手権大会四日目の十一日、県代表の中京大中京は、6−10で広陵(広島)に敗れた。三回に伊藤康の本塁打で先制したが、六回以降に継投した香村ら三投手が相手打線につかまった。終盤に4点を返す粘りを見せたが及ばず、初戦で姿を消した。強豪同士が激突したこの試合を、四万七千人が見守った。
◆磯村投手「悔いはない」
 「今日の試合に悔いはありません」。先発した磯村峻平投手(三年)は言い切った。最速143キロの背番号「10」は、威力ある直球を武器に、六回途中で降板するまで相手打線を無失点に抑えた。
 初回から「エンジン全開」だった。直球で相手打者の内角をえぐる強気の投球を、甲子園でも見せた。「狙われている」と感じると、切れのある変化球を主体とした組み立てに切り替え、的を絞らせなかった。
 二年の夏はエースだったが、愛知大会で打ち込まれ、「先輩を甲子園に連れていけなかった」と責任を感じながら、「1」を明け渡した。
 県大会直前の六月、それまでの疲労が重なり、利き腕の左肘を痛めた。力をつけてくる他の投手らに、焦りを感じる日々が続いた。
 ようやくたどり着いた甲子園のマウンド。試合中に高橋源一郎監督に「どうや」と尋ねられ、答えた。「楽しいです。最高です」。チームは敗れたが、その充実感は試合後も変わらなかった。

 (大橋貴史)
◆多くの支えに感謝
 <中京大中京・伊藤康祐主将> 声援の中で野球ができて幸せ。自分なりの力は出し切った。二年生が僕たちの悔しい気持ちを引き継いで来年やってくれる。負けたことは悔しいが、支えてくれた人たちのおかげでここまでできた。
◆最後に力を見せた
 <中京大中京・高橋源一郎監督> 追加点が取れなかったが、ひと冬越えて力を付けた成果を最後に見せてくれた。もう一歩、二歩だった。九回はスタンドの応援を感じて流れを持ってこられた。あらためて甲子園の素晴らしさを感じた。
◆気持ち負けず反撃
 <広陵・岩本淳太主将> 先制されても気持ちで負けなかったことが六〜八回の得点につながった。終盤は雰囲気にのまれて失点してしまったので、勝ち上がれるよう修正したい。常に挑戦者の意識で戦っていく。 
◆中盤よく辛抱した
 <広陵・中井哲之監督> 大観衆の前で試合ができ、選手も楽しそうにやってくれて感謝している。2点先制されたが、その後よく辛抱した。夢の舞台で次も強豪校と戦えるのを楽しみにして、全力で頑張る。