二年生エース修行(しゅうぎょう)恵大投手にとって初の大舞台は、2本の本塁打を含む5失点。五回途中で降板した。「本当に悔しい」。言葉少なに唇をかみしめた。
 一年前。甲子園のマウンドは夢のまた夢。試合に出ている自分の姿さえ想像できなかった。入学直後の五月、左膝を痛みが襲った。病院での診断は「骨肉腫の可能性がある」。「死ぬかもしれない。今まで普通にやっていた野球ができなくなる」と絶望した。
 県内のほかの二病院でも原因は分からず、名古屋大病院でがん検査を受けた。結果は疲労骨折。死への恐怖はなくなったが、十月までボールに触れる練習はできなかった。
 冬場、好きな野球ができる喜びを胸に練習に打ち込み、今春の県大会からは阪口慶三監督に背番号「1」を託された。
 「1番というのは、阪口先生からの信頼が一番厚いということ。エースらしい投球をする」と臨んだ甲子園のマウンド。二回と四回、相手の四番に2打席連続の本塁打を浴びた。「警戒していたのに、高めに入った球を狙われた」。甘い球を逃さず、試合の流れを持っていく強豪の力を見せつけられた。
 「春に甲子園に戻ってきて、完投する」。涙は見せず、雪辱を誓った。

 (長永みづき)