「怪談」などの著書で知られる明治時代の作家ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の研究者が集う国際シンポジウムが二十三日、富山市の富山大五福キャンパスで、二日間の日程で始まった。初日は、日本と関わりのある作品と時代背景などについて七人が講演や発表をした。
 八雲は一八五〇年にギリシャで生まれ、英国や米国で過ごし、九〇年に来日。島根県尋常中学校(現松江北高校)の英語教師になり、日本人女性と結婚して日本国籍を取得し、一九〇四年に亡くなった。
 東京大の小森陽一教授(日本近代文学)は基調講演で、八雲の代表作「心」と夏目漱石の「こゝろ」をテーマに講演。双方の背景にあった日清戦争後の日本の変容を解説した。
 戦争に勝利し、莫大(ばくだい)な賠償金を得て国家財政が膨らんだことで社会が大きく変わったと説明。八雲が指摘している日本人の先祖崇拝を放棄する漱石の描写を挙げ「利己的な個人主義が、国家の戦争によって構築された体制と結び付いていたことが両作品を重ねると浮かび上がってくる」と語った。
 二十四日は、八雲のひ孫で島根県立大短期大学部の小泉凡教授による基調講演などがある。無料で自由に聴講できる。シンポは今回で三回目。 (山中正義)