県、若手育成へ助成
 除雪の担い手が高齢化や人員不足にあえいでいる。県内全域が法律に基づく豪雪地帯に指定されている富山県。道路除雪が滞れば生活に深刻な影響を及ぼすが、作業の主力となる建設業界は人が集まらず、機械オペレーター(操作員)は高齢化が進む。事業者は「いつまで現状維持できるか分からない」と危機感を強める。(渡辺健太)
 今月半ば、山深い南砺市利賀地域。六十代の操作員が除雪車を操り、一〜二メートルに積もった雪を押しのけていく。操作員は「体力的に厳しくなってきた」と漏らした。
 同地域は、建設業十一社でつくる共同体が、県や市から委託を受けて除雪に当たる。操作員は約六十五人いるが、九割は五十〜七十代。積雪が見込まれると午前二時に出勤するハードな業務だが、共同体代表の野原一司・野原建設社長(52)は「若手がいないのでベテランが辞めるに辞められない」と打ち明ける。
 除雪車の維持管理も大きな負担となっている。十一社全体で約十五台を使うが、自社保有は年々減り、今は半数が市や県からの貸与。新しくする予定はどこもないという。
 国土交通省によると、全国の豪雪地帯で、六十一歳を超える操作員の割合は一九九八年の3%から、二〇一五年には19%まで上昇。景気低迷や公共事業減少から、建設業者の体力低下が進む。
 県内でも深刻だ。全国建設業協会の「除雪業務に係るアンケート」(昨年八月発表)では、操作員の人手が「不足」と答えた業者が33%、「最低限」が67%。富山労働局によると、建設業界の有効求人倍率(十月)は六・二一倍でトップ、全職種平均の一・八三倍を大きく上回る。
 県は一五年から、免許取得などの費用を助成する「除雪オペレーター育成支援事業」を始めた。
 県建設業協会の竹内茂会長(63)は「若者の確保に向け、各企業で働き方改革を推進していきたい」と話す。
 国交省は除雪車の省力化や自動運転化の開発に乗りだしているが、実用化までは遠い。国交省国道・防災課の担当者は「降雪時の大規模な立ち往生も増えており、除雪体制の安定化は急務」と話している。
暖冬で出動減 追い打ち
待機長い山間地 収入減少に直結
 山間地にとって人手不足に加え、近年の暖冬・少雪傾向は大きな痛手だ。除雪の委託契約は出動時間に応じて報酬が支払われるため、業務の減少は収入減に直結する。
 平野部は冬季、ほかの工事を進められるが、山間地はそうはいかない。暖冬でも一気に雪が積もることもあり、持ち場を離れられない。平野部の仕事も受注できず、待機を余儀なくされている。
 同じ豪雪地帯の新潟県十日町市は二〇一三年度から、十一月に平年並みの除雪経費の約七割を業者に前払いする「除雪基本料金支払制度」を導入。出動時間に関わらず一定額の賃金が保証され、野原社長は「こういった取り組みが広がってほしい」と期待する。
 富山県や南砺市は〇七年から機械管理費を固定費として一定額支払っているが、拡充を求める声も多い。県道路課雪対策係の担当者は「十日町市の取り組みは把握している。注視していきたい」と話す。