患者と住民が共作 新棟彩る
 病院職員と患者、地域の人たちが一緒に制作する「ホスピタルアート」で新病棟を飾る−。城北病院(金沢市京町)がそんな活動を始める。イメージは学校の「部活動(部活)」だ。戦後、地域住民の出資で生まれた診療所が前身で、「私立」ではなく「住民立」の看板を掲げる病院として、「地域とのつながりをさらに深めたい」という。(押川恵理子)
 十一日午後六時ごろ、病院近くにあるクリニックの多目的室に、ガラスを削る音が響いていた。「ステンドグラス部」の体験会に集まったのは患者ら約二十人。慣れない手つきで、色ガラスを組み合わせ、花や風景を形作っていた。
 高血圧の治療で通院中の主婦、中塚眞弓さん(67)は、病院を一緒につくっていくという考え方に共感している。「いろんな人の手が加わったアート作品を飾れば、病院により親しみが持てる」と入部を決めた。
 ステンドグラス部長は、九谷焼を用いたインスタレーション(空間芸術)で知られる金沢美術工芸大准教授の高橋治希(はるき)さん(46)だ。「ホスピタルアートは芸術家によるものや、参加型でも単発のイベントばかりで『部活』形式は珍しい。皆で作ったからそれでいい、ではなく、美術作品のレベルにしたい」と話す。
 ステンドグラス部のほか、絵付けタイルなどを作る「陶芸部」、不要になった病院の備品で案内板などをリメークする「工作部」もある。部活は、若手芸術家の支援などをするNPO法人「金沢アートグミ」がバックアップする。
 「部活」は、城北病院副院長の三上和久さん(43)と事務次長の西谷求(にしやもとむ)さん(44)が発案した。
 二〇一五年六月、耳原総合病院(堺市)を見学した際、エントランスホールにつり下げられた「大きなハート」に目を奪われた。患者らがメッセージを記した一万九千枚の紙で作られたアート作品だった。「見ていた二、三歳の女の子が『ハートだ』とはしゃぎだした。理屈抜きで、すごいなと思った」と三上さん。
気持ち和らぐ効果を期待
 「痛みや緊張を伴うマイナスのイメージが強いのが病院。アートは患者の気持ちを和らげ、緊張の中で働く医療スタッフの心に余裕を生む」。アートの必要性を院内で熱心に説き、「そんなお金があれば医療機器の導入を」と反対する人を説得し、賛同を得た。
 「部活」の問い合わせは城北病院=電076(251)6111=へ。
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 城北病院の新病棟は二〇年四月に完成する予定。建設費四十億円の四分の一は、寄付金や地域住民が出資する共同基金で賄う。