◆浜松市や伊豆地方で農作物など被害
 浜松市や伊豆地方で、特定外来生物のクリハラリス(タイワンリス)やフィンレイソンリスの被害が拡大している。放置すると農林業と生態系に多大な悪影響を与えるとして、日本哺乳類学会が対策要望書を県と市に提出した。市は市民の協力を得ながら積極的に捕獲を進める考えだ。
 クリハラリスや、外観では区別がつかないフィンレイソンリスは、飼われていた同市中区の浜松城公園にあった元市動物園から逃げ出し、野生化したとみられている。
 電線を伝うなどして生息域を広げた。公園の木や民家の雨戸、電線がかじられるといった報告が市に寄せられ、被害は天竜区を除く市内各地で出ている。現在は公園から西に約十キロ離れた浜名湖東岸で、シイタケを栽培する原木がかじられ、収量が減った。浜北区の県育苗場でも、クリハラリスの特徴的な鳴き声が確認されている。
 市は推定五千〜一万匹が生息しているとみている。生息域がもっと広がると、西側は特産のかんきつ類、北側では杉やヒノキに被害が出ると危惧する。
 国内各地の野生化リスの調査をしている日本哺乳類学会によると、東京都伊豆大島や神奈川県鎌倉市など一都十県で野生化が確認されている。「浜松市は早期に対策を講じれば、根絶が可能」とする一方で、有効な対策をとらずに放置すれば、数年後には爆発的に増え、農林業や生態系への大きな被害が確実視されると警鐘を鳴らす。
 市は防除実施計画を策定。餌やり禁止や情報を求めるチラシを作製し、市民の協力をあおぐ。
 市販のネズミ捕りを生息域に設置し、完全駆除を目指す。
 浜松城公園では散歩する市民が餌を与える姿が見られることから、市環境政策課の担当者は「栄養状態が良くなると生存率が上がる。他の生物が駆逐されたり、思わぬ病気に人が感染したりする可能性がある」と話す。

(宮沢輝明)
<クリハラリス/フィンレイソンリス> 本来の生息地はインド東部から中国南東部、台湾。ニホンリスより一回り大きく、頭から尾の付け根まではおおよそ20センチ、尾の長さは18センチほど。最高で一度に4匹、年に3回出産する高い繁殖率を持っている。