第百一回全国高校野球選手権大会八日目の十三日、県勢の敦賀気比は国学院久我山(西東京)に19−3で大勝し、三回戦に進出した。春夏通じて甲子園での県勢最多得点で、杉田翔太郎選手(三年)が夏の甲子園史上六人目のサイクル安打を達成した。敦賀気比の二回戦突破は、四強入りを果たした二〇一四年以来五年ぶり。大会十一日目(十六日)に予定される三回戦は、十四日に行われる鳴門(徳島)−仙台育英(宮城)の勝者と対戦する。
◆準備周到、精密さ光る
 三万人を集めた甲子園が、秘めた敦賀気比の底力を引き出してくれたのか。快音を何度も響かせ、三回までに11安打8得点。主将の上間洸太選手(三年)は「現チームになって、ここまで打てた記憶がない」と驚いた。少しおどけて、こうも続ける。「準備が良かった。今日はゾーンに入っていた」
 身長一八八センチ、体重八五キロの相手先発の攻略法は「外」にあった。試合前に「外ばっかり突いてくる。身長が高いし、目線を落として、しっかりたたく」と口にしたのは杉田翔太郎選手。一、二、三回ともすべて外角を狙い打ち、この時点で4打点。波に乗ったこの日の主役は、最終回にサイクル安打の偉業を達成した。
 林孝臣コーチによれば、甲子園入り直後は打撃に雑なところがあったという。五番を担う高原秀郎選手(同)も「遠くに飛ばしたいという欲があって、引っ張りにかかった」と明かす。一回戦は硬さもあり、チーム初安打は四回まで出なかった。
 それと比べ、この試合は精密だった。22安打を放ったうち、13本が中堅から逆方向へとはじき返している。「その意識が、つながったのでは」と林コーチ。相手投手の対策として、外角ばかり打ってきた練習も生きた。
 投手陣が制球に苦しんだこの試合。周囲から「打てない」と言われ続けたチームがついに覚醒した。四強入りした二〇一四年以来、五年ぶりの夏2勝。聖地での戦いを重ね、打線も力を増してきた。
 (谷出知謙)