シンガー・ソングライターの長渕剛(68)が新曲「HOPE」を引っ提げ、故郷・鹿児島の日置市伊集院文化会館を皮切りに、17日から13カ所16公演の全国ホールツアーを開催する。バンドメンバーとともにリハーサルに励むスタジオでこのほど本紙の取材に応じ、同曲に込めた思いやツアーへの意気込みを語った。(江川悠)

 わずか2日ほどで書き上げたという「HOPE」は、長渕が時代の飢餓感、喪失感、自己喪失感を一笑しHOPE=希望という叫びで歌い上げるロックナンバーで今月1日から配信がスタートした。

 なめてきやがる 屁理屈 鮮烈な正義は歪み 人を潰して す・り・こ・む 論破 論破で 日が暮れる

 二番の象徴的な歌詞だ。ミュージックビデオ(MV)は背後で火柱が上がる中、歌詞の内容に沿って怒ったり、シニカルに笑ったりする長渕の表情にスポットを当てている。この楽曲を引っ提げて長渕は「戦いののろしを上げて攻め込みます!」と宣言した。

 「今の窮屈な世界、希望のない世界では『そうでなければいけない』という価値観がどんどん動いてしまっている。そういったものに関して『自分はそう思わない』『風穴を開けるぞ』という感じはありますね」

 ツアーの出発点は鹿児島の生まれ育った地。幼いころ参加した日置市の徳重神社の伝統行事「妙円寺詣(まい)り」は関ケ原の合戦に破れた西軍の島津義弘が、徳川本陣の真っただ中を敵中突破し、わずかな人数で帰郷した苦難をしのぶ行事だ。

 「振り返ってみると、そういう血脈の中を自分らは生きてきているんだなと。(鹿児島弁歌詞の自身の楽曲『気張いやんせ』で)『前つんのめりで生きて行こや』と歌っているわけですから、そういうふうな思いになって、今回は『攻め込むぞ!』と。『まだあの人、怒ってんのね』と言われるかもしれないけど、『当たり前だろ、怒り続けるぞ』と。これが〝希望〟ですかね」

 初日公演に向けてのリハーサルは最終段階に入った。ツアータイトル曲の「HOPE」を中心に、選曲もこだわり抜いた。楽曲を通じて喜怒哀楽を分かち合いながら、心がスカッとするステージになりそうだ。

 「本当に山あり谷ありで、そのときに歌がそこにそっと置いてあってね、希望の歌や癒やしの歌だったりするのが音楽なんだけど、長渕剛の役割はどんな場合でも攻め込んでいく。その歌の中に込められた僕の実人生と、それを聴いてこられたファンの皆さんが今回集まったときに、それぞれの自分の人生を投影しながら、最後はもう1回走って、『よし、幸せになるために前つんのめりでいくぞ!』というふうな、のろしを上げるステージにしたいなと思います」

 東京公演は28、29日に有明ガーデンシアターで。東海地区では6月4日に三重県文化会館 大ホールで公演を行う。