宝塚歌劇団の雪組トップスター望海風斗(のぞみ・ふうと)が11日に東京宝塚劇場で開催されたミュージカル「fff―フォルティッシッシモ〜歓喜に歌え!〜」とショー「シルクロード〜盗賊と宝石」公演の千秋楽をもって同劇団を退団した。2003年に入団後、花組としてキャリアがスタート。14年11月に雪組に移り、17年7月にトップとなった。男役ひとすじ18年。サヨナラショーの最後に「皆さん、生まれ変わっても宝塚で出会いましょう!」と深い感謝と愛情をにじませた。

 ラストパフォーマンスでも圧巻の歌唱力が光った。サヨナラショーでは、雪組で作った思い出を振り返りながら名シーンを再現し、最後は笑顔になってもらうというコンセプトで、「ドン・ジュアン」「凱旋門」「ファントム」などの劇中歌で魅了。ともに退団するトップ娘役の真彩希帆(まあや・きほ)とも情熱的な“ラストダンス”を披露した。

 「18年、宝塚におりますと、たくさんの幸せを感じることができました。ですが、今日が最高に幸せであの日見た夢の世界よりもはるかに夢のような、でも確かに本当の幸せをいただきました。そして大切な、かけがえのない仲間にも出会えました。みんなと作る舞台が大好きでした。そしてきょう、ここに全員そろって千秋楽を迎えられましたことに、本当にうれしく、感謝の気持ちでいっぱいです」

 新型コロナウイルス感染対策のため、公演は出演人数を半分に制限して行ってきたが、サヨナラショーには40人全員が集まった。ステージ上の大階段を降り、花束を受け取ると、緑色のペンライトで染まった客席に向かって万感の思いを伝えた。

 当初は昨年10月に退団予定だったが延期となり、恒例のサヨナラパレードも自粛。コロナに翻弄(ほんろう)され、異例の形で旅立ちを迎えたが、「fff」で、どんな困難な状況でも立ち上がるベートーベン役を演じたことで「今自分たちが置かれている状況を受け入れることで、同じ一瞬一瞬を生きるのなら、その先に見えるものを見た方がいいんじゃないかなという気持ちにさせてくれました」とポジティブに受け止めた。

 公演後の退団会見で、男役として過ごした18年間について「ここまで楽しいものとは思わなかった。奥が深くて、ゴールがない。やれるものならいつまでもやっていきたいと思った」と述懐。今月22日からは、東京・東急シアターオーブでミュージカル「エリザベート TAKARAZUKA25周年スペシャル・ガラ・コンサート」に男役として出演が決定している。

 「卒業して、ポッカリ穴が空いてしまうんじゃないかと思ったところに、そのような支えがあるのが救い。これから自分がどういうふうに進んでいきたいかをしっかり考えながら歩んでいきたい」と語りつつ「寿(結婚)はありません」と苦笑いしていた。