◇コラム「大塚浩雄のC級蹴球講座」

◇11日 J1第10節 FC東京1―1柏(国立競技場)

 ロドリゲス監督を迎え、今季好調の柏レイソルが、後半追加時間4分に木下の劇的な同点ゴールで追いつき、アウェー戦で勝ち点1をゲット。暫定3位に浮上した。

 圧倒的にボールを支配し、主導権を握り続ける攻撃的なサッカー。わずか3カ月で、昨年までのカウンターサッカーから見事なポゼッションサッカーに切り替えてしまったロドリゲス監督の手腕は素晴らしい。

 この日も試合開始直後から攻め続けた。ボールの支配率は終始60%以上。FC東京の倍以上のパスをつなぎ、攻め続けた。しかし前半35分、安易なバックパスからミスが続き、一瞬のスキをつかれて仲川に先制ゴールを許した。

 それでも柏は攻め続け、終了間際に熊坂のクロスを途中出場の木下が決めた。柏が放ったこの試合8本目のシュートだった。ボールの支配率が40%にも満たないFC東京は10本のシュートを放っている。じれったいというか、思い切りが悪いというか…。

 今季の柏はここまで4勝5分け1敗。1―1のスコアが4試合、0―0が1試合。1―0の勝利が2試合。2点取った勝利が2試合(2―1、2―0)。接戦の連続で、攻撃的なのに我慢のサッカーを強いられている。

 徳島、浦和で指揮を執ったロドリゲス監督は、ポゼッションサッカーを貫いてきた。今季、柏の監督に就任すると16人の新加入選手(1人はレンタル放出)を迎え、サッカーのスタイルをガラリと変えた。スタメンに名を連ねている選手はボールを扱う技術が高い。特に3バックはビルドアップの能力が高く、攻撃における役割も大きい。

 前線の3人は組織的にハイプレスをかけ続け、中盤の選手も運動量が多い。前線、中盤、ディフェンスの3ラインがコンパクトな陣形を保ち、相手にボールを持たせない。ボールを奪うと、選手間の距離が近いからショートパスで相手のプレスをやすやすと回避できる。この日も3バックが敵陣まで攻め上がり、ビルドアップに加わった。組織的な全員攻撃、全員守備は、見ていてほれぼれする。

 しかし、点が入らない。アタッキングサードに入っても攻撃のテンポが上がらず、突破も少ない。思い切ったミドルシュートも少ない。ロドリゲス監督は「シーズンスタートから常に攻撃的にプレーすることを目指している」とした上で、現状をこう分析した。

 「アイデア不足。背後への飛び出し、ゴールへ向かう意識が足りないがゆえに、チャンスを作れなかった。ボールを支配するだけのメンバーをそろえると決定力不足に陥り、決定力を高めるためにカードを切ると試合のコントロールを失うというジレンマに遭遇している」。あと1人、攻撃のスイッチを入れることのできるアタッカーがいれば…。2年連続17位に低迷し、ギリギリで残留した柏にとっては、ぜいたくな悩みかもしれない。

 ◆大塚浩雄 東京中日スポーツ編集委員。ドーハの悲劇、94年W杯米国大会、98年W杯フランス大会を現地取材。その後はデスクワークをこなしながら日本代表を追い続け、ついには原稿のネタ作りのため?指導者C級ライセンス取得。40数年前、高校サッカー選手権ベスト16(1回戦突破)。