◇18日 「第25回秋華賞」(G1・芝2000メートル・京都競馬場)

 3歳牝馬による「第25回秋華賞」(G1・芝2000メートル)は18日、やや重の京都競馬場で行われ、単勝1・4倍と断然の1番人気に支持されたデアリングタクトが直線、豪快に突き抜けて快勝。史上初となる無敗の牝馬三冠を達成した。

 松山弘平騎手(30)=栗東・フリー=、杉山晴紀調教師(38)=栗東=はともに同レース初勝利。2着は10番人気のマジックキャッスル、3着は9番人気のソフトフルート。2番人気のリアアメリアは13着に大敗した。

 普段通りに興奮は内に隠して杉山師は安堵(あんど)の笑顔を見せた。開業して5年目の秋。春に桜花賞、オークスと2冠制覇を果たした管理馬デアリングタクトは単勝支持率57・1%という圧倒的な支持に応えて史上初の無敗による牝馬3冠の座にたどり着いた。

 「パドックでオークスよりもテンションが思う以上に高くなってしまって正直、休み明けによるものと心配しました。でも、返し馬で比較的に落ち着きを取り戻してくれて安心しました」と杉山師。これまで4戦にはなかったテンションの高さ。不安の中でのスタートだった。

 道中は13番手。パドックで上がったテンションを考慮してじっくりと構えた。マルターズディオサが作り出した流れは1000メートル通過59秒4というハイペース。それでも勝負どころでは早めに仕掛けて進出した。自分から動いてねじ伏せる競馬。終わってみれば馬場の真ん中を堂々と抜け出してくる横綱相撲だ。

 「この馬の良さは最後の切れ味。でも、思ったよりも他馬には早めにこられて自分から勝ちに行くレースになりました。最後も2着馬との差が詰まってきたのでひやりとしましたが、何とか押し切ってくれましたね」。杉山師はほっとした表情で振り返った。

 デアリングタクトの馬名の意味は「大胆な戦法」。その言葉通りに前哨戦を使わず、オークスからぶっつけでの秋華賞挑戦を決めた。それは杉山師の判断だった。「私がオーナーの理解を得て最終的に直行を決めました。それだけにプレッシャーが強かった」。自らに重圧がかかっても勝つために必要なことだけをしてきた。それが実っての栄冠だ。

 まずは3冠。もちろんそこがゴールではない。目標は先にある。「まずは馬の無事を確認してからです。これまでにないテンションの高さだったので反動があるかもしれない。でも、さらに上のステージに行ってみたいという思いはあります」。

 杉山師が振るった“タクト”に最高の走りで応えた。「これからさらに強いデアリングタクトを見せていきたい」と指揮官。史上初の無敗での牝馬3冠という偉大なる金字塔を打ち立てた新女王がここをステップにさらに飛躍を遂げていく。