皆さん、やりました! デアリングタクトで史上初の無敗牝馬三冠を決めることができました。今の率直な気持ちはホッとしたというのが一番大きいですが、歴史的な快挙を達成できて本当にうれしいです。これも乗せて頂いたオーナー、生産者、杉山晴厩舎の方々のおかげ。何より頑張ってくれたデアリングタクトに感謝の気持ちを伝えたいです。

 レースを振り返ると、休み明けのせいか、ちょっとテンションが高く、返し馬は大丈夫だったのですが、ゲート中での落ち着きを欠いていました。少し心配しましたが、まずまずのスタートを切ることができましたし、道中の折り合いはスムーズ。うまい具合に前にリアアメリアを見る形で運べましたし、4角で外から来た馬に合わせて、早めにゴーサインを出しました。

 そこで手前を変えた時にバランスを崩しかけたところはありましたが、直線でエンジンが掛かってからは、いつものデアリングタクトの伸び。それでも後ろから来ているのは分かっていましたし、ムチも入れず、必死に追いました。最後まで気は抜けませんでしたが、ゴールの瞬間は、重圧から解放されて、本当にうれしかったです。

 今回は正直、今までで一番緊張しました。史上初の記録が懸かっていましたし、土が付いたらデアリングタクトの名前を汚してしまう。絶対に負けられないと思っていました。プレッシャーに打ち勝つために、「全てはメンタルで決まる」「自分とデアリングタクトならできる」と、とにかく信じることを心掛けました。ルメール騎手や池添先輩も「いつも通りでいい」というアドバイスを下さりましたが、その言葉を胸に、普段通りの騎乗を心掛けたのが、結果につながったのかなと思います。

 うれしいことは続くもので、最終レースでは初めて年間100勝を決めることができました。いつかは達成したかった大きな目標の一つ。まさか今週できるとは思っていなかったので、きょうは生涯忘れることができない、最高の1日になりました。

 ただ、来週も競馬は続きますし、浮かれる訳にはいきません。自分のことを言えば、三冠ジョッキーという称号にふさわしい成績を残していかないといけませんし、デアリングタクトはこれから牡馬や古馬との戦いが待っています。コントレイルやアーモンドアイなどの強敵相手にどれだけやれるか。もちろん、このまま負けずに連勝を続けていきたいですからね。一つの区切りは達成できましたが、次のステージに向けて、また頑張りたいと思っています。最後になりますが、応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。(JRA騎手・松山弘平)

 ▼松山弘平(まつやま・こうへい) 1990(平成2)年3月1日生まれの30歳。兵庫県出身。2009年に池添兼厩舎所属で騎手デビューすると、いきなり初日に初騎乗初勝利を飾り、1年目は36勝を挙げてJRA賞(最多勝利新人騎手)を受賞した。12年の中日新聞杯(スマートギア)でJRA重賞初勝利、17年の皐月賞(アルアイン)でG1初制覇。この日の京都12Rで自身初となる年間100勝目を挙げて今年の全国リーディングはルメール、川田、福永に次ぐ4位。JRA通算734勝。167センチ、51キロ。血液型はB。好きな食べ物はカレーライス。