◇16日 大相撲夏場所8日目(両国国技館)

 これぞ朝青龍のDNAだ。思い切り当たって押して、左上手を引く。豊昇龍(21)=立浪=は止まらない。すぐさま右の内掛け。朝乃山(27)=高砂=の大きな体がもんどり打って土俵に沈んだ。

 その名を知らしめるに十分な大関戦初勝利。オンライン取材で「体がいい感じに動いた」。おじさんそっくりな笑顔を見せた。

 おじさんの存在がでかすぎて、今までそれほど目立たなかったが、幕内最年少の21歳。「おじさんのいったところより上にいきたい」とでっかい目標を掲げている。おじさんのビデオを見ては「どうしたらあんなふうになれるのかなと思う。あの強さ、あのスピード、あのパワー。まねはできません」と尊敬の念しか抱けないが、いつかは越えてみせると誓う。

 素質はおじさんに勝るとも劣らない。日体大柏高(千葉)へレスリング留学したが、すぐに相撲へ転向。100キロそこそこながら50メートルを5秒9で走る身体能力を武器に、高3で国体3位と急成長を遂げた。

 いまだに「怖い」というおじさんから入門の際に金言をもらった。「山の上じゃなくて、足の下の石を見ろ。未来じゃなくて、目の前の相手を考えて相撲を取れ」。その言葉が頭に刻まれていたのだろう。

 7日目の貴景勝(24)=常盤山=戦で左へ変化。八角理事長(元横綱北勝海)から「今どきの若いものにありがちな、簡単に考えている気がしますよね、相撲を」と消極的な内容に苦言を呈されたが「豊昇龍、やればできる。こういう相撲ですよ。やればできるんだから」とこの日は理事長も絶賛した。

 高1のとき67キロしかなかった体重は自己最高の140キロ。これからも上がっていくだけ。部屋は場所後に茨城・つくばみらい市から東京・台東区へと移転するが、茨城で好きな場所は「筑波山ですね。1カ月に1回は行っていました。モンゴル人は山に登るのが好きなんで」。おじさんより少し遅いかもしれないが、足元を踏み固めながら頂点を目指していく。