◇17日 大相撲夏場所9日目(両国国技館)

 大関照ノ富士(29)=伊勢ケ浜=は、物言いが付いた関脇高安との一戦を制し、9連勝で単独首位を守った。

 高安が前のめりに倒れ込み、照ノ富士は土俵を飛び出した。最後は微妙なタイミング。軍配は照ノ富士にあがったが、物言いが付いた。それでも大関には確信があった。「残った感覚はあったんで」。勝っている―。結末は軍配通りだった。

 過去の対戦成績は7勝12敗。最近は4連敗しており、照ノ富士にとって高安戦が最大の難関と言えた。組んでも良し、押しても良しの相手に対して、思うような相撲が取れない。「自分の相撲を取るだけ」と集中したものの、この日の一番も主導権は高安に握られた。

 高安がもろ差しになりかけると、突き放しに出た。その後は突き合いとなったが、高安のいなしに体勢が崩れかけ、横につかれた。苦しい展開。頭を抑えられるように投げを打たれ、そこから前に出られた。今場所初黒星かと思われたが、諦めなかった。「我慢して良かったです」と執念ではたき込んだ。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「よく残った。投げにいかれたときに、よく足が前に出た。柔らかかった。前に出たから残れた」と言えば、藤島審判長(元大関武双山)は「照ノ富士が頭を押さえつけるようにして、はたきましたね。照ノ富士の執念じゃないでしょうか」と話した。

 今場所初めてヒヤリとしたが、全勝を守った。1敗で追っていた貴景勝が敗れたため、差は2となった。9日目終了時に2差をつけて単独トップに立ったケースは、15日制が定着した1949年夏場所以降では20度あるが、全て優勝している。つまり、V率100%。「優勝経験があるし、精神的にぶれない。そうすると、優勝する確率は高くなる」と八角理事長も本命に挙げた。3大関との対戦を残すが、照ノ富士が天敵撃破で賜杯をグッと引き寄せたのは間違いない。