最年少タイトル獲得を目指す藤井聡太七段(17)が、最年長タイトル獲得記録を昨年塗り替えた木村一基王位(47)に挑む将棋の第61期王位戦七番勝負第1局(中日新聞、東京新聞主催)は1日、愛知県豊橋市のホテルアークリッシュ豊橋で始まった。将棋史に刻まれる「最年長VS最年少シリーズ」。その初手2六歩は、振り駒で先手となった藤井七段によって指された。戦型は角換わりに進んでいる。

 藤井七段は6月28日の棋聖戦五番勝負第2局に続き、タイトル戦2回目の和服姿。今回はライトグレーの羽織に白い着物と夏らしい色合い。午前8時36分、対局場に登場すると、爽やかな風が吹き抜けたような印象を与えた。

 持ち時間は各8時間の2日制。初日は午後6時に指し掛けとなるが、藤井七段が人生初の封じ手をするかにも注目が集まる。2日目の2日は午前9時に再開する。

 見どころは「千駄ケ谷の受け師」の異名を取る木村王位ならではの指し回しが、どこで飛び出すか。一方、6月の対局再開から怒濤(どとう)の快進撃を続ける藤井七段には、長い持ち時間がさらなるプラスに働く可能性が高い。両者の棋風から、互いに攻防の秘術を尽くし合う熱戦が期待される。

 オンライン前夜祭で発表された記念扇子への揮毫(きごう)の一文字にも、今期に懸ける2人の思いが込められていた。「気」と「信」―。木村王位は「気」を前面に出し、若武者の勢いを受け止める構え。棋聖戦第2局でも歴史的名手が話題になった藤井七段には、最後まで自分を「信」じていければ―との確信がにじむ。それぞれの一文字を貫いた方に軍配が上がるシリーズとなりそうだ。

 ダブルタイトル挑戦となっている藤井七段。すでに渡辺明棋聖(36)=棋王・王将と合わせ3冠=に2連勝して初冠に王手をかけている棋聖戦か、この王位戦のいずれかに勝てば、屋敷伸之九段(48)の最年少獲得記録18歳6カ月を上回る。