■オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会

日曜日の朝に特撮を見る習慣がついてもう30数年。

1987年の『超人機メタルダー』の頃に、僕のニチアサは始まった。

特撮を見てから家族で外出、特撮を見てから部活という幼少期、少年期を送り、大人になった今では特撮を見てから仕事、見ながら仕事、時には見ることが仕事の時もあったりして、子供の頃の自分が見たら羨ましい大人に映ることだろう。

そんな僕のニチアサライフ、やはりどう考えても2000年あたりが気持ち的に不安定になった。

それは『仮面ライダークウガ』のせいだ。

特撮史に残る傑作でこれを外しては特撮を話すことはできなかったりするのだが、正直当時は戸惑いも大きかった。

なにせこんな特撮作品を僕は見たことなかったからだ。

そして放映開始した当初は、自分が見たかった仮面ライダーとも違っていたというのが正直な意見。

勧善懲悪の特撮が染み込んでいた高校3年生の僕には、この新しいアプローチの特撮の見方がわからなかった。

しかしこの特撮ビッグバンともいえるとてつもない衝撃があったおかげで、より特撮を好きになったというのも紛れもない事実。

こうした思いをファン同士で共有することは、インターネットの普及率がまだそれほど高くなかったこともあり、今ほど簡単な時代ではなかった。

しかし後年になっていろんな資料を読んでいくうちに、僕が感じたあの気持ちは他のファンも感じていたんだということを知ることになる。

『仮面ライダークウガ マニア白書』

クウガファンのみならず、すべてのライダーファンに読んでほしい一冊。

なかなか手に入れられる代物でないが、もしも古本屋で見つけるという幸運な機会があった場合には、身ぐるみを質屋に入れて裸になってでも手に入れるべきだ。

完全に非公式な本だがクウガの熱烈なファン同志が作った一冊で、とんでもない熱量は数ページ読むだけでも感じることができる。

特筆すべきは第3章の論説。

僕がクウガを見て感じた気持ちがいろんな視点から記述してあり、読み終えた時に自分だけが感じていたわけではなかったんだと安堵した。

11年ぶりの仮面ライダーシリーズで前作のRXとは方向性がまるで違うことに戸惑ったことや、昭和ライダーから排除されてしまった要素への嘆き、しかしそれらを踏まえて新時代のライダーへの希望と期待が生々しく綴られており、当時でなくては書けない文章の連続にただただ圧倒される。

これと合わせて読んで欲しい書籍を、さらにいくつか紹介させて頂きたい。

『テレビマガジン特別編集 空我』

写真多め、各キャラクターやグロンギ達を知る資料としてとても良質な一冊だが、高寺成紀プロデューサー、後の東映専務の鈴木武幸さん、石森プロの早瀬マサトさん、飯田浩司さんの話を元にまとめられたクウガ誕生史は、『仮面ライダーゼロワン』に続く歴史を知る上でもぜひ読んでいただきたい。

『語ろう!クウガ アギト 龍騎』

こちらでは高寺プロデューサーがいかにクウガに熱を持って向き合っていたかがよくわかるうえに、のちに『仮面ライダー鎧武』で脚本を担当する虚淵玄さんから見た平成仮面ライダー創成期の感想を知ることができる。

ファンから見たクウガ、スタッフから見たクウガを知ることで、放映時にははっきりとはわからなかった、でも画面からは確実に伝わってきていたクウガの圧倒的熱量を立体的に把握することができる。

それをいつでも確認できる資料が自分の本棚にある現状に、幸せを感じずにはいられない。

最後にもう一冊だけ紹介。

『仮面ライダークウガ マテリアルブック』

クウガの特徴でもある徹底した時系列がこの本の後半に全て網羅されており、クウガを鑑賞する際には片手に必携しておきたい一冊。

作品のみならず刊行された書籍にも漏れなくこもってるこの熱を、20年経った今、是非感じてみることをオススメさせていただく。

(文:篠宮暁)

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