第2回:『マスコット』

Netflix沼にあふれる無数のコメディ映画やドラマの中から、オススメの作品をご紹介するこの連載。

今回取り上げるのは、2016年製作のアメリカ映画『マスコット』です。

観客と一緒にスポーツの試合や応援を盛り上げてくれる、各チームのマスコット・キャラクターたち。その世界一を決める競技大会に集まった、さまざまなデザインの着ぐるみたちが抱腹絶倒の闘いを繰り広げる本作。

気になるその内容と出来は、果たしてどのようなものなのでしょうか?

ストーリー

世界中の応募者から選ばれた20人が、マスコット世界一の座を賭けて火花を散らす、第8回世界マスコット競技大会。どこかチープ、しかしオリジナリティあふれる着ぐるみに身を包み、自身が演じるマスコットへの強い愛情と、それぞれの複雑な事情を抱えた参加者たちの、抱腹絶倒のパフォーマンスが今始まる!

世界中から集まったマスコットたちが凄い!

この映画の舞台になるのは、1000人規模の会場を使ってカリフォルニア州のアナハイムで開催される架空のイベント、第8回世界マスコット競技大会。

この大会に世界中から集まった20名の参加者たちですが、可愛いマスコットたちのデザインとは裏腹に、演じる人々はどれも一風変わった個性的な人物ばかり!

お金のかかった着ぐるみから、どう見ても手作り感満載のチープなものまで、各自のキャラクターに扮して踊ったりおどけたりする彼らですが、その複雑な過去やマスコットになった動機がインタビュー映像によって語られることで、彼らの人生が次第に浮き彫りになっていきます。

例えば、ロンドンのアマチュアサッカーチームのマスコット”ハリネズミのシド”を、親子三代にわたって務めているイギリス人のオーウェンや、普段は二人とも学校の先生をしながら、夫婦で野球チームのマスコット・キャラクターに扮しているマレー夫妻。

その他にも、”アルマジロのアルヴィン”として得意のダンスを披露するシンディーや、カナダのアイスホッケーチームのマスコット”コブシ”を演じるトミー、更にカリフォルニアで不動産鑑定士をしながら、地元フットボールチームのマスコットを演じるフィルなど、これだけの個性豊かな参加者たちが一同に集まるのですから、トラブルや騒動が起きないはずがありません。

競技大会のパフォーマンスで高いハシゴを使った危険な演技に挑戦しようとして父親と対立するオーウェンや、大会前夜に食べた寿司に当たって出場不能になるシンディー、更にこの大会で高校時代に片思いしていたロビンと再会するフィルなど、それぞれのドラマが展開する中、いよいよ運命の大会当日を迎えることになるのですが…。

多くの観客が会場を埋め尽くす中、なんと大会当日に”ナメクジのベニー”が麻薬をやっていることが発覚! それ以外にも、さまざまなトラブルや人間ドラマが展開する中、果たして競技大会は無事に開催できるのか、そして優勝は誰の手に?

こう書くと、どこか真面目な感動ドラマのように思えますが、実際は下ネタや攻めたギャグが満載のフェイクドキュメンタリーなので、ご安心を!

週末の夜、気軽に笑って楽しむには最適な作品なので、ぜひご鑑賞頂ければと思います。

最後に

アメフトやバスケ、それにアイスホッケーなど、さまざまなスポーツの試合を盛り上げるチームマスコットの姿と、その着ぐるみの演者たちへのインタビューを通じて、彼らの私生活やマスコットに対する独自の哲学が描かれていく、この『マスコット』。

まるで日本の”ゆるキャラグランプリ”を思わせる、個性的なマスコットたちのデザインに、正直中盤までは彼らのズッコケぶりや、世間の常識とのズレで笑わせる映画、そう思って観ていたのですが、ドラマ部分の攻めた笑いや強烈な下ネタに反して、参加者たちが披露するパフォーマンスのクオリティが高いため、マスコットに賭ける彼らの真剣さがより際立つのは見事!

加えてこのギャップにより、それまで冗談のように思えていたマスコットたちの存在が、映画の終盤で一気に輝きを増すことになる点も、実に上手いのです。

更にエピローグとして、参加者たちの一年後のインタビューが登場するのですが、チームが売却されてマスコットを辞めた者や、引退したマスコット専用の老人ホームでボランティアを始めた者、更に優勝しながらもマスコットを辞めてしまった者など、この大会での経験が彼らの人生に大きな変化を与えたことが明らかにされます。

特に、パフォーマンス中の大ケガでマスコット活動を諦めたものの、入院生活中に見たテレビ番組に影響を受け、修道士になってしまったトミーの姿は、自分が夢中になれるものを得た経験が、彼らの人生を確実に豊かなものにしたことを証明するもの。

現実の社会ではヒーローや主人公になれなかった人々が、マスコットという架空のキャラクターとして人生のスポットライトを浴びるという、現代のSNS社会にも通じるテーマが素晴らしい作品なので、全力でオススメします!

作品情報

Netflixオリジナル映画『マスコット』独占配信中

(文:滝口アキラ)