C)2006「子ぎつねへレン」フィルムパートナーズ

いよいよ夏休みですね。いつが休みでいつが仕事かわからなくなる我らモノカキ商売の輩からすると、1か月以上も確実に休めるお子さんや学生さんたちがうらやましい限り!?

さて、私のような昭和世代の夏休みといえば、カブトムシを採りに行ったり、海で泳いだり、近所の犬や猫と戯れたり……などなどでしたが、今はどうなのでしょう? 家族旅行で牧場などに行って動物と触れ合ったりする方もいらっしゃるのではないでしょうか?(私などは近所のイノシシ飼育牧場に潜入して、イノシシの群れに追いかけられたトラウマのような体験もありますが……)

動物映画もいっぱいありますが、今回は『子ぎつねヘレン』を選んでみました!

子ぎつねと少年の交流を描いた2006年の大ヒット映画

『子ぎつねヘレン』は写真家・エッセイストとしても活動する獣医・竹田津実の実録エッセイ『子ぎつねヘレンがのこしたもの』を原作に作られた映画で、2006年の春に公開され、興収17億8000万円の大ヒットを記録した作品でもあります。

舞台は春の北海道。カメラマンとして世界中を飛び回る母(松雪泰子)の意向で、東京から北海道の森の動物診療所に預けられた少年・太一(深澤嵐)は、ある日母親からはぐれた子ぎつねを拾います。

獣医の矢島(大沢たかお)によると、その子ぎつねは頭に怪我を負い、視覚も聴覚も嗅覚も失っているといいます。

太一は子ぎつねにヘレンと名付けて、懸命に育てようとします。

しかし、そこに“ドクター・キタキツネ”と呼ばれる獣医大学の上原教授(藤村俊二)が現れて……。

母に見放されたと思っている孤独な少年が、ヘレンケラーになぞってヘレンと名づけられた子ぎつねの母親代わりを務めながら、いつしか自身も成長していく。

サリバン先生さながらの献身を示す主演の深澤嵐君は、後にテレビ『仮面ライダーディケイド』(09)の中で仮面ライダーキバに変身した少年としても知られています。『獣拳戦隊ゲキレンジャー』(07〜08)では幼い日の主人公ゲキレッドも演じていましたね。そういえば獣医矢島の娘役で出演している小林涼子ちゃんも、映画『仮面ライダーTHE FIRST』(05)に出演していました(最近は14年『大人ドロップ』や16年『ピンクとグレー』といった映画などでも活躍中)。

大人の代表として大沢たかおと松雪泰子が出演し、大人たちの複雑な事情なども描かれていますが、やはりファミリー映画ということで、中心となるのはやはり少年とヘレンの心の交流。

そして何といっても、ヘレンを演じた子ぎつねの可愛らしさに尽きるでしょう。(撮影に際しては、アニマトロニクスやCGも用いられています)

子どもと動物にはどんな名優も叶わない!?

監督は『古畑任三郎』シリーズ(94〜)や『王様のレストラン』(95)、『オリエント急行作人事権』(15)など三谷幸喜脚本のテレビ・ドラマ演出に定評があり、それ以外でも『フリーター、家を買う』『マルモのおきて』(11)など高視聴率作品のメイン監督も多数手がけている河野圭太。

本作品は彼の銀幕デビュー作ですが、これが好評で続いて『椿山課長の七日間』(06)『ぼくとママの黄色い自転車』(09)と、ヒューマニズムに根差した作品に才を発揮しています。

音楽は西村由紀江。ピアノソロの繊細な響きが子どもたちの心情を巧みに奏でてくれています。また主題歌はレミオロメンが『太陽の下』を熱唱(劇場公開時、この曲が流れるエンドタイトルで号泣する人も多かったとか)。

また撮影の名手・浜田毅が、北海道の春の景色を美しく描出。真夏に見ると、また実にすがすがしく気持ちいいものがあることでしょう。

子どもと動物にはどんな名優も叶わないとは、昔から映画界のジンクスとしてよく言われるところですが、本作もそれに倣った、ある意味伝統の(?)、普遍的な感動をもたらす作品です。

ぜひご家族でご覧になってみてください。

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(文:増當竜也)