■「〜幻影は映画に乗って旅をする〜」

ザ・マミー/呪われた砂漠の王女 ポスタービジュアル

(C)Universal Pictures

トム・クルーズ主演作としては、史上最高のインターナショナル・オープニング成績(63の国と地域3日間で1億7300万ドル)を記録した『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』が、いよいよ日本でも公開される。

本作は、ユニバーサル映画が30年代から50年代にかけて製作した、モンスター映画の古典を現代に蘇らせる〝ダーク・ユニバース〟の記念すべき第1弾。そんな企画の趣旨だけに、古代エジプトのミイラが現代に蘇る本作がその先陣を切るというのは粋な計らいだ。

<〜幻影は映画に乗って旅をする〜vol.41:『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』からはじまる新たなフランチャイズ〝ダーク・ユニバース〟は成功するのか>

ザ・マミー/呪われた砂漠の王女 サブ4

(C)Universal Pictures

中東の激しい戦闘地帯に迷い込んだニック・モートンは、爆撃によって地中深くに眠っていた古代の遺跡を発見する。それは5000年以上前に魔術を使ってエジプト王とその後継者を殺めた王女・アマネットを封印するために作られたものだった。ニックは考古学者のジェニーとともに、アマネットが収められた石棺を調査することになるが、その輸送中に不可解な現象が起こり、飛行機が墜落。即死したはずのニックは、無傷のまま目を覚ますのであった。

〝ダーク・ユニバース〟というだけあって、ミイラが蘇るホラー要素を含んでいるのはもちろんのこと、考古学的なアプローチも欠かさずアドベンチャー的に、そしてトム・クルーズらしい体を張ったアクションまでと、必要な娯楽要素をふんだんに詰め込んだサマームービーらしい大作だ。

ちなみに、監督を務めるアレックス・カーツマンといえば『M:i:Ⅲ』の脚本家を務め、本作に大抜擢された逸材。また脚本陣には『ミッション:インポッシブル』や『宇宙戦争』のデヴィッド・コープに、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』や『アウトロー』のクリストファー・マッカリーときたら、もうトム・クルーズ映画としては完璧な布陣だろう。

1932年のオリジナル作品、カール・フロイントの『ミイラ再生』といえば、これまでにもテレンス・フィッシャーの『ミイラの幽霊』など、幾度となくリメイクされてきた名作中の名作だ。近年では99年に公開され、3作目まで作られた人気アドベンチャー『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』も、同じ作品を基にしている。

ハムナプトラ失われた砂漠の都 (字幕版)

国王の愛人に恋に落ちた高僧イムホテップは、国王を殺めたことの罰に、禁断の呪いをかけられる。生きたままミイラにさせられ、棺に入れられたまま神殿の地中深くに眠らされていたのだ。それから3000年の時を経て、伝説の都〝ハムナプトラ〟を訪れたリック・オコーネルとその仲間たちは、石棺の中から一帯のミイラを発見する。イムホテップが復活を遂げ、エジプトに災いがもたらされるのである。

この99年版の〝The Mummy〟はスティーブン・ソマーズのユーモラスなエンターテインメント。こちらもホラー要素は最小限に抑えて、コメディ俳優ブレンダン・フレイザーを主役に配し、娯楽色に徹したのである。90年代の最先端のVFX技術は、さすがに現在と比較すると多少見劣りするだろうか。それでも砂上に顔が浮かび上がる場面(今回の『ザ・マミー』では煙で同じ様な場面が登場する)の引きは見事である。

オリジナルも、この『ハムナプトラ』も、蘇ってくるミイラは男性の高僧であったが、今回は王女のミイラが蘇る。その点が大きな違いだろうか。ミイラというミステリアスな存在に力強さというアクセントを加えた『ハムナプトラ』に対して、『ザ・マミー』ではソフィア・ブテラの美しさで華を添える。たしかに、古今東西優れたホラー映画には怖くて美しい女性キャラというのが欠かせないのだ。

この〝ダーク・ユニバース〟は、今後ハビエル・バルデム主演の『フランケンシュタインの花嫁』やジョニー・デップ主演の『透明人間』の制作が決定している。〝ユニバース〟として世界観を共有するのであれば、いずれそれらのキャラクターが一堂に会する作品も作られるのだろうか。まるで『リーグ・オブ・レジェンド』のようになるのではないかと気掛かりではあるが、楽しみに次の一手を待ちたい。

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(文:久保田和馬)