■「君の名は。」関連記事

君の名は。 ブルーレイ メイン

(C)2016「君の名は。」製作委員会

『君の名は。』のDVD&Blu-rayがついにレンタル&発売となりました。何度でも観たくなる“仕掛け”が随所に凝らされた本作は、ソフトを手に入れておくことで「このシーンは◯◯だ!」「このセリフの意味はこうだったんだ!」と、また新たな発見をすることができるでしょう。

※筆者は過去に以下の記事も書いています↓・『君の名は。』が大傑作となった7の理由https://cinema.ne.jp/recommend/kiminonaha2016090107/

・『君の名は。』の深すぎる「15」の盲点https://cinema.ne.jp/recommend/kiminonaha2016092717/

・『君の名は。』聖地巡礼レポート!これだけは持って行きたいモノとは?https://cinema.ne.jp/recommend/kiminonaha2016111506/

・『君の名は。』に“感動できなかった”方の気持ちを考えてみたhttps://cinema.ne.jp/recommend/kiminonaha2016120717/

・『君の名は。』IMAX版の見どころはここだ!オススメの特殊音響上映も紹介!https://cinema.ne.jp/recommend/imax-kiminonaha2017011706/

ここでは、『君の名は。』の深すぎる「15」の盲点の記事に引き続き、さらに細かい3つの盲点、新海誠監督の“次回作”への言及などについてお伝えします。

君の名は。 サブ10

(C)2016「君の名は。」製作委員会

※以下のからは『君の名は。』の大きめのネタバレに触れています。まだ観ていない方は鑑賞後にお読みください。

1:サヤちんはテッシーに積極的すぎるアプローチをしていた!

映画冒頭の、テッシーとサヤちんが2人乗りをしているシーンに注目!自転車の後部座席に乗ってるサヤちんは、三葉を見つけて「あっ」と声を出し前にのめり込むのですが‥…その時にテッシーが一瞬だけ目を閉じて、顔を赤らめているのです。つまり、テッシーはサヤちんの胸が背中に当たっていることにドキッとしているんです(笑)。

その後すぐにサヤちんは三葉のすぐそばで「おはよ」と挨拶するのですが、サヤちんはまたも前のめりになってテッシーにくっついています。テッシーはこの時「お前早う降りーや!」と「重いんやさ!」と言っていましたが、内心では胸を押し付けられたこと動揺していたに違いありません(ここでもテッシーが顔を赤らめていることや、汗をかいていることでわかります)。

なお、新海誠監督はトークショーにて、この胸を押し付けるシーンを“もう一度観て欲しい見どころ”に挙げており、サヤちんのこの行動を「さりげなく胸を押し付けている」、「サヤちんは、テッシーがもしかすると三葉が好きかもしれないと思っていて、三葉に対抗意識を持っている」などと語っていました。つまり、このサヤちんの胸を押し付ける行動は天然ではなく、恋心を抱いているテッシーをオトすための“わざと”のスキンシップなんですね。

また、テッシーが女子のスキンシップに対する免疫がまったくないことは、終盤に中身が瀧になっている三葉に対して「お前あんまりくっつくな!」「ちょいやめー!嫁入り前の娘が!」などと言っていることでもわかりますよね(笑)。

(C)2016「君の名は。」製作委員会

2:瀧の持っている英単語帳に書かれていた英文をよく読むと……?

三葉が(中学生の)瀧に会いに東京に行った時のこと……電車の中で瀧がめくっていた英単語帳には、「Have you seen Tiamat’s comet?(君はティアマト彗星を見たことがある?)」、「I’m looking for my counterpart.(私は私の相手を探している)」と書かれていました。言うまでもなく、劇中の出来事を表している英文になっていますね。

注目すべきは“counterpart”という単語で、これには“対の片方”、“よく似たもの”という意味もあります。映画の冒頭とラストで「ずっと誰かを探していた」と、瀧と三葉それぞれのモノローグで語られていましたが、その探していた(looking for)“誰か”というのが“片われ”であると、この「I’m looking for my counterpart.」という英文でわかるのです。

昼でも夜でもない時間の“黄昏時”は糸守町の方言で“カタワレ時”と呼ばれており、瀧と三葉が再開できた時間はそのカタワレ時でした。瀧と三葉は偶然に出会ったというよりも、彼らは元から“片われ”同士であり、運命的に導かれていた2人であった……この英文で、そう示されているかのようでした。

(C)2016「君の名は。」製作委員会

3:奥寺先輩が婚約をした相手は……!

糸守町が救われた後、就職活動中の瀧と司と真太が集まっているシーンで……司の(カップを持っている)左手の指をよく見ると、その薬指に指輪がはめられていることがわかります。この指輪が、奥寺先輩が去り際に瀧に見せていた指輪によく似ている!

(C)2016「君の名は。」製作委員会

(小説版も含め)映画本編ではそれ以上のことはわかりませんでしたが、好評を受けて製作されたパンフレットの第2弾にて、新海監督は“あくまで裏設定”と前置きしてうえで、司と奥寺先輩が婚約関係にあることを明かしていました。

そういえば、映画の中盤で司と奥寺先輩は瀧の旅行に勝手についてきた後、瀧は手紙を残して2人を旅館において行ってしまいました。その時から、奥寺先輩と司には何らかのロマンスがあったのでしょうね。

この他にも、終盤の“吉報”の茶柱と対になるように前半で“不吉”の象徴であるカラスが鳴いていたり、瀧の着ているパーカーの腕には“陰陽(陰と陽という2つのものが調和しているという中国の宇宙観)”らしきマークがあったりと、まだまだ細かい“盲点”はきっと見つかるはず!ぜひ、ソフトを繰り返し観て、発見してほしいです。

君の名は。 長澤まさみ 奥寺ミキ

(C)2016「君の名は。」製作委員会

おまけその1:入れ替わりの物語を作ったきっかけは、東北大震災だった

2017年3月11日に放送されたTBSの番組「3.11 7年目の真実」にて、新海誠監督は東北大震災の被災地を回りながら、『君の名は。』を作ったきっかけを語っていました。

新海誠監督は「もし自分がここにいたら」「もし(宮城県の)閖上にいたあなただったらどうだっただろう」「自分がここで生まれ育っていたかもしれない」と思って、『君の名は。』の“入れ替わり”の物語を作ることを考えたのだとか。

本編を観た方には言うまでもなく、劇中の彗星衝突という出来事は、東北大震災を思わせるものでした。その被害から人々を救おうとする三葉や瀧、彗星そのものが美しく描かれており、そこには災害や不幸に見舞われた人々に対する、映画でしか成し得ない“救い”が存在している、と言ってよいでしょう。

実際に起きた途方もないほどの大きな災害を受けて、「この場所にいたらどのように行動できただろう」という“IF”を叶えるかのようなこの物語を新海誠監督が作り上げたこと……それもまた、奇跡と呼べる素晴らしいことです。

(C)2016「君の名は。」製作委員会

おまけその2:次回作の構想は?

「3.11 7年目の真実」において、新海誠監督は『君の名は。』に続く次回作について、「まだ何も決まっていない」と具体的な明言は避けつつも、「大人の言う『こんなはずじゃなかった』、『世界はちょっとずつ悪くなっていく』といった“憂鬱さ”を飛び越えていけるような、若い人の話になる」と語っていました。

『君の名は。』にも少年少女や就職活動中の若者に対してエールを送るような優しいまなざしが向けられていましたが、次回作も若者が主人公の、若者が世界に対して希望を持つことができる映画になるのかもしれませんね。

君の名は。メイン

(C)2016「君の名は。」製作委員会

おまけその3:「スパークル」のミュージックビデオの最後を観ると……

以下の「スパークル [original ver.]」のミュージックビデオには感動しました!このミュージックビデオの最後のシーンは、映画本編では描かれていない”あの奇跡が起こらなかった時間軸”の物語なのではないでしょうか。

おまけその4:『君の名は。』に似ている映画『イルマーレ』とは?

『君の名は。』に似ている、とたびたび話題に出ている映画に、2008年製作の『イルマーレ』があります。イルマーレ (字幕版)

2000年の同名の韓国映画のリメイク作であり、『スピード』のキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックの再共演も話題になっていました。

『イルマーレ』では、2年という時間の隔たりがある男女が、手紙でのコミュニケーションを取ることができるようになるという内容です。『君の名は。』では「瀧と三葉はなぜ時間のズレに気づかないの?」とツッコんだ人は数多いですが、『イルマーレ』ではすぐにその事実を認識してくれるのできっと納得できるでしょう(笑)。

劇中では“同じ場所での2年の時間のズレ”がユニークな映像やアイデアで表現されており、ラブストーリーが軸となる物語運びにも『君の名は。』にかなり似たものを感じられるはず。「会いたいのに会えない」というジレンマは、実際の遠距離カップルの恋愛にも通ずるので共感しやすいですよ。

おまけその5.『君の名は。』と合わせてこの映画も観てみよう!

『イルマーレ』や『君の名は。』のように時間のズレのある者同士がコミュニケーションを取る映画には『オーロラの彼方へ』もありますし、『バタフライ・エフェクト』や『時をかける少女』(特に2006年のアニメ版)も『君の名は。』を彷彿とさせるところがある名作です。「『君の名は。』をレンタルしようと思っていたけど全部借りられてしまっていた」という時に、これらの映画をぜひ手に取ってほしいです。

また、『君の名は。』はこれまでの新海誠監督の特徴がすべて入っていると言っても過言ではないので、『秒速5センチメートル』や『言の葉の庭』など過去作を遡って観てみると、より新海誠というクリエイターの“作家性”、その魅力をより感じられることでしょう。以下の通信教育Z会のCMも、離れた場所にいる少年少女がある出来事をきっかけにして偶然に出会うという運命の描き方が、かなり『君の名は。』に似ています。

この他にも、『君の名は。』に似ている映画、通ずる面白さを持つ作品はたくさんあるはず!『君の名は。』で映画の面白さに目覚めた人たちが、もっと多くの映画に出会えることを、期待しています。

■「君の名は。」関連記事をもっと読みたい方は、こちら

■このライターの記事をもっと読みたい方は、こちら

(文:ヒナタカ)