1945年の沖縄を舞台に、ひとりで暮らしていた少女・梅野洋海(織田梨沙)と、洞窟に身を潜めていた脱走兵の岩淵隆康(満島真之介)、アメリカ人のボブ(ブランドン・マクレランド)との出会いと交流を描き、戦争に翻弄された人々の姿とそこにあった想いを伝える本作。

主演の織田梨沙さんと満島真之介さんに、お互いの印象や、沖縄・伊江島で行われたロケのお話などを伺いました。

(C)2017 The STAR SAND Team

ー まずは今作に出演することになった経緯をそれぞれ教えてください。

織田 洋海役のキャストとして、16歳に見えて、英語を話せる人を監督が探していたそうで、以前、仕事でお世話になった方が私のことを紹介してくださったのがきっかけです。それで、監督と一度お会いすることになったのですが、そこで出演が決まりました。

満島 2016年に出演した野田秀樹さんの舞台を観に来てくださっていたんです。終演後に楽屋でお話をいただきました。初対面でしたが、初めてあった感覚はなかったほどです(笑)。

その場で今作の企画書と原作をいただいたんですが、そのときに、ある写真を見せてもらったんです。それは僕がとても馴染みのある伊江島の写真で、その話をしたときに監督のテンションが最高潮に上がって、「一緒に映画を作りたい、君とならいい作品ができる気がする」と言っていただいたんです。

直接オファーをしてくださった熱量もそうですし、大きな縁を感じたので、この作品に参加したいと思いました。

ー では、お二人が初めて会ったのはいつになるんでしょうか? お互いの印象はいかがでしたか?

【織田】「楽しい人」【満島】「ゆる美しい!」

満島 リハーサルの日ですね。3、4日あったのですが、そこで、いろいろ話したりして仲が深まりました。梨沙ちゃんの印象は、「ゆる美しい」かな。

撮影から1年経って、さらに大人になってますけど、少女としてのあどけなさと、大人としての強さと美しさの狭間というか、それが一番重なる貴重な瞬間に出会った気がしています。

20代半ばで出会っていたら、また全然違う印象だったと思うんです。あの時だからこその人間の本質にある魅力や、固まりきらない美しさ。奇跡的な瞬間でした。

織田 うれしいけど、恥ずかしい。そんなことを思ってたの?

STAR SAND −星砂物語− 場面写真1

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満島 めちゃくちゃ思ってたよ。魅力的だなと。「ゆるい」というのは、梨沙ちゃん自身が持つゆるさでもあるけれど(笑)。一見、「ビューティー!」って感じだし、強そうに見えるけれど、関わっていくうちに美しさや強さだけではない、人としての柔らかさがすごく素敵だなって思いました。

織田 初めて聞きました。

満島 あと、梨沙ちゃんは日本人離れしているところがある気がしているんです。こうあるべき、という形式ばったもののなかで生きてる感じがしないんです。そこが、魅力的に見えてくるのかもね。

これから、どんどん変化していくだろうけど、その瞬間が刻まれている今作を含めて、あの時期に一緒にいられたのは、大きな喜びですよ。

STAR SAND −星砂物語− 場面写真4

(C)2017 The STAR SAND Team

織田 満島さんのことは…みんな気づいてると思うから、今更かもしれないけど「楽しい人」(笑)。

お会いする前に、バラエティ番組に出演しているのを偶然見ていたんです。そのときの、にぎやかな人だなぁという印象が強くて。会ってみたら、やっぱり思っていた通りでした(笑)。

でも、私は人見知りなので、そうやって場を盛り上げてくれる人がいることで救われました。

満島 相手が人見知りかどうか、僕にとってはあまり関係ないんですよね。無理にそれを越えようとか、どう思われるかなとか、そういう計算もしないんです。そうしちゃう行動自体が、人見知りの壁をさらに高くてしまうから。

織田 会えば自然に、「いえ〜い!」って感じできてくれる(笑)。

ー 現場では、どんな感じで過ごしてました?

織田 現場でもやっぱり満島さんがムードメーカーで、すごく楽しかったです。いつも盛り上げてくれて、ありがとうございました!

満島 監督がロジャーだったから、歴史や人間の本質的なものをテーマにした作品でも重くなりすぎず、ちゃんと感じるところは大切に、キャスト、スタッフみんなが信頼しあってできたと思います。

この映画は、戦時中に生まれた監督と、平成を生きる僕らの世代が一緒に作った作品。特に沖縄で生まれ育った僕は、戦争に対して思うところが強くあったけれど、監督の中にも強い想いがあったと思います。その2つの強い想いと、みんなの想いを監督が愛で包んでくれました。

監督が「君はどう思う?」と素直に尋ねてくれて、意見を伝え合うことができたことも幸せでした。コミュニケーションをしっかりとれていたので、ボブを演じたブランドンや、隆康の兄役の三浦貴大くん、みんなが同じような想いを根底に共有していた、すごくいい現場でした。

STAR SAND −星砂物語− 満島真之介 ブランドン・マクレランド

(C)2017 The STAR SAND Team

織田 スケジュールはタイトだったけど、なんだかすごく平和だった。

満島 ねぇ、すごく平和。洞窟での撮影なので、いろんなことが起こる可能性があったんです。そういうのを小さい頃から見たり、感じたりすることがたくさんあったので。でも、これだけ心の美しい人たちが集まっている現場だったからか、自然もその島の地域の人たちも、見えない力も、すべてが映画を応援してくれている気がしました。

織田 その洞窟から見た海の景色がすごくきれいで、印象的でした。そこでみんなで過ごした日々がすごく楽しくて、本当に濃かった。満島さんとは4、5日しか撮影がなかったけれど、それが信じられないくらい、ずっと一緒にいた気がします。

満島 とても短い時間だったけれど、思い出は心のなかの宝物のボックスに入ってます。たくさんの経験をしていくなかで、取捨選択が必要なときもあるけれど、これは大切にしていきたい記憶のひとつで、この映画も観る方の心の中に大切に残ると嬉しいです。

ー 劇中では、人から受け継いだ特別なものとして星砂が描かれているシーンがありますが、お二人が、そう感じているものはありますか?

【織田】「小さい頃におじいちゃんに買ってもらったくまのぬいぐるみ」【満島】「映画の世界にいる幸せを思う存分感じろ! by大林宣彦かんとく」

織田 おじいちゃんと一緒に出かけたときに、私が駄々をこねて買ってもらった熊のぬいぐるみがあるんです。その話自体は母から聞いたものなんですが、ぬいぐるみは幼い頃によく持ち歩いていて、今でも枕元に置いています。もう亡くなってしまったおじいちゃんとの思い出も込めて、大切にしています。

満島 僕はデビュー作が若松孝二監督の映画でした。蜷川幸雄さんとも何度もご一緒させてもらい、ロジャーとも出逢えた。戦時中や戦後すぐに生まれた世代の方とのご縁がとても多いんです。そのなかで、愛のある喝をたくさんいただいているのは僕の財産です。

そして、昨年、大林宣彦監督とご一緒させてもらった時に「映画の世界にいる幸せを思う存分感じろ!」という言葉をいただきました。

そのときは、わかっているようでいても、100%それを感じられてない自分がいたんです。なぜかというと、自分が関わっている作品のことや芝居のことなど、細かなことが気になってしまうから。

でも、今になって、大林監督の言葉の本質を感じ始めたんです。映画の世界にいる幸せだけを感じることで、芝居やその準備をしているときに、細かいことを考えなくなりました。監督に教えてもらった希望や幸せを忘れず、誠実に表現と向き合いたいと思っています。

ー では、最後に、読者へのメッセージをお願いします。

織田 私は戦争映画と聞くと、激しい戦闘シーンや残虐なイメージがあって構えてしまうけれど、『STAR SAND ー星砂物語ー』はそういう映画ではなく、ひとりの少女の物語です。生きる大切さとか、普通だと思っていることが幸せだと感じられる作品なので、戦争映画と聞いて敬遠してしまう人も壁を作らずに、いろんな方に見ていただけたらいいなと思います。

STAR SAND −星砂物語− 場面写真3

(C)2017 The STAR SAND Team

満島 まず、戦争がどうだという以前に、生きるということはすごく愛に包まれているんだということを感じてほしい。肌の色や人種、宗教観の違いは、人間同士のふれあいや、見つめ合うことだけで、時代を超越した愛を生む。この映画は、そこを大切に描いてます。たくさんの方に長く愛されていくことを願ってます。

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映画『STAR SAND ー星砂物語ー』は、シアタードーナツ・オキナワ(那覇)で本日より公開。また、シネマ・ジャック&ベティ(横浜)などで8月25日(金)まで上映、ほか順次公開が予定されています。

(取材・文:大谷和美 ヘアメイク:内藤歩<織田>、斎藤将志<満島> スタイリスト:杉本学子<織田>、DAN<満島>)

<衣装(満島)>ジャケット、パンツ/ISSEY MIYAKE MEN