本日、9月7日より今年で第42回となる、米・アカデミー賞レースの始まりを告げる北米最大規模の映画の祭典「トロント国際映画祭」が開幕する。

日本からは、蒼井優&阿部サダヲW主演、白石和彌監督の映画『彼女がその名を知らない鳥たち』が、同映画祭の「世界的な視野と注目すべきストーリー性を持つ作品」をセレクションするコンテンポラリー・ワールドシネマ部門に正式出品される。

彼女がその名を知らない鳥たち『彼女がその名を知らない鳥たち』より (C)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会

トロント国際映画祭がワールド・プレミアとなる本作について、同映画祭のインターナショナルプログラマーであるジョバンナ・フルヴィ氏は「エロスと喪失、そして欲望について、強烈な絶望感をもって語りつくし、心を掴まれるストーリーテリングは、美しくも冷酷な演出に絶妙にマッチしていて、とりわけ蒼井優のパワフルなパフォーマンスが際立っている」と惜しみない称賛を送っており、「究極の愛とは何か」を突きつける日本産の本格ラブストーリー“かの鳥”が、今年のトロント国際映画祭で席巻することに期待が高まっている。

本映画祭の最高賞となる観客賞は期間中に作品を見た一般の観客の投票によって決まるが、過去に観客賞に輝いた作品はアカデミー賞作品賞をはじめ数々の賞を総ナメにするなど大きな話題を集め、日本でも大ヒットを記録した作品が数多くある。

トロントでの熱烈な支持から、アカデミー賞作品賞の栄冠に

9月という季節柄もあり、賞レースの幕開けを飾るのがトロント国際映画祭。この地で幸先よく受賞を果たした作品はその年のアカデミー戦線でのスタートダッシュを決め、オスカーまで一気に駆け抜けていくことも多い。

スラムドッグ$ミリオネア DVD『スラムドッグ$ミリオネア』より (C)2008 Celador Films and Channel 4 Television Corporation

どん底からの復活を描いた2008年の受賞作『スラムドッグ$ミリオネア』は、主人公の純な愛、インドの社会問題と真摯に向き合うストーリー展開、さらにインドらしい派手なダンスシーンで、老若男女すべてが楽しめるとあって、観客賞に相応しい作品となった。

また、史上稀にみる豪華ラインナップの超熾烈なオスカー争いを制した2010年受賞作『英国王のスピーチ』、黒人の奴隷映画という敬遠されがちなジャンルながら批評家のみならず観客からも絶賛を集めた2013年受賞作『それでも夜は明ける』といった作品も、トロントでの観客賞を機にして一般の観客による熱烈な支持を受け、見事にアカデミー賞作品賞の栄冠に輝いている。

時代を超え人々を魅了し続ける名作

選ばれた審査員が決めるのではなく、観客の一般投票で最高賞が決まるという本映画祭のシステムは、本当に人々が愛してやまない映画が最高賞に選ばれるのが大きな特徴だ。

2001年の受賞作は、日本でも興収16億円※1を記録した『アメリ』。仏・パリを舞台にした美しい街並みや愛らしい主人公の生き様に、公開から15年以上が経過した今もなお全世界の女子が憧れる作品として愛され続けている。

ラ・ラ・ランド ブルーレイ DVD『ラ・ラ・ランド』より (C) 2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND.Photo courtesy of Lionsgate.

昨年2016年の受賞作は、アカデミー賞作品賞も間違いなしと言われていたなか前代未聞の発表ミスで受賞を逃したことが記憶に新しい『ラ・ラ・ランド』。女優の卵と売れないピアニストの切ない恋愛を鮮やかなビジュアルと心躍る音楽に乗せ描いたミュージカル作品は、日本でも大きなムーブメントとなり興収約44億※2の大ヒットを遂げる。記憶にも記録にも残る偉大な作品となった。。

唯一の邦画受賞作は?“かの鳥”は14年ぶりの快挙なるか

40年以上の歴史を誇るこの賞を、日本の映画で唯一受賞したのが2003年の北野武監督『座頭市』だ。盲目というハンディキャップを背負った謎の任侠・市の活躍を描いた北野監督初の時代劇作品は、独創的な音楽や、タップダンスを取り入れるミュージカルシーン等の娯楽的演出が色濃く、“新たな時代劇”としてトロントの観客たちを大いに魅了した。そして同賞受賞の勢いそのままに、ベネチア国際映画祭でも銀獅子賞に輝くなど、その勢いは世界中へと伝播している。

このたび正式出品される映画『彼女がその名を知らない鳥たち』が、邦画作品として14年ぶり受賞の快挙となるかが注目だ。

彼女がその名を知らない鳥たち ポスタービジュアル(C)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会

映画『彼女がその名を知らない鳥たち』は2017年10月28日(土)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー。

※1 一般社団法人日本映画製作者連盟調べ※2 2017年8月14日現在、興行通信社、文化通信社、配給元など調べ