現在公開中のディズニー/ピクサー最新作『カーズ/クロスロード』と同時上映されている短編アニメーション『LOU』の監督を務めたデイヴ・マリンズは、本作のメインとなる謎の生命体「LOU」の動きに関しては、あえて3DCGの特性を利用したアニメーション作成の方法を取らなかったという。

 短編映画『LOU』では、「忘れもの預かりボックス(LOST AND FOUND)」に潜む謎の生命体「LOU」を中心とした物語。野球ボールの目と赤いフードの顔を持つ彼の体は、まさしく“忘れもの”でできており、ときに体を自由自在に変化させながらスクリーンを駆け回る姿が印象的だ。このLOUのユニークな動きについて、マリンズ監督はコンピュータによる省略や、重力など物理的な計算によって動きを作成するシミュレーションといった3DCGならではのある種“便利”な技術をほとんど使わなかったと明かす。

 「(LOUの動きにおいては)布地のひだなどについては少し使っていますが、それ以外の部分では、あらゆるものをストップモーションアニメーターによる手作業のアニメーションで動かしています」と話すマリンズ監督。彼自身『ファインディング・ニモ』『Mr.インクレディブル』などでアニメーターを務めてきたアニメーション畑の人間。そのためそれがいかに大変なことであるかは、重々承知の上の決断だったという。「今でもわたしのことを呪っているアニメーターがたくさんいることは確かです(笑)。わたし自身アニメーション部門の出身なので、わたしとしては『うん、僕にも君たちの気持ちはわかるよ』という気持ちでした」。

 しかしなんだかんだありつつも、「実のところピクサーでは、わたしたち全員がこういうタイプのチャレンジが心から好きなんです」とスタッフ全員が楽しく作品づくりに取り組んでいたよう。当時のことを振り返り、マリンズ監督は「アニメーターたち全員がすっかりこのチャレンジに没頭しました」とも語っていた。だがもちろんCGならではの便利な部分を活用することもあったという。その一つが劇中に登場するイジメっ子JJや、子供たちのビジュアル。これは『インサイド・ヘッド』『ファインディング・ドリー』などの過去のピクサー作品に登場した子供をアレンジしたデザインなのだそう。過去作を観ていた人であれば、思わずハッとする子供のキャラクターもいるのかもしれない。(編集部・井本早紀)