ニューヨーク・アジア映画祭の特別試写で上映された1992年のカルト映画『香港淫殺倶楽部/ポイズン・ガールズ あぶないカ・ラ・ダ』について、女優キャリー・ンが7月14日(現地時間)ニューヨークのSVAシアターのQ&Aで語った。

 本作は、『男たちの鎮魂歌(レクイエム)』のクラレンス・フォクが監督を務めたB級映画。後妻の浮気相手ビーに父親を殺されたキティ(チンミー・ヤウ)は、父親の復讐のためにビーを殺害。逃亡を助けてくれた女殺し屋シンディの教えのもと殺し屋になる決意をするが、シンディの弟子プリンセス(キャリー)から命を狙われるハメになる。主演のチンミーは香港電影金像奨で主演女優賞にノミネートされた。

 香港映画の当時と今日の撮影の違いについてキャリーは「当時はまだ携帯電話ではなくポケットベルを使っていて歴史を感じるわね。今のようにデジタル撮影ではなくフィルムで撮影していて、CGさえも使っていなかったわ。スタントもわたしたち(女優陣)には付いてなかったから、アクションは実際に女優陣がこなしていたの。カット割りも多く、ワンシーンごとに相当な数のテイクを撮っていたわ」と大変な現場であったことを振り返りつつも、撮影は楽しんでいたと語る。

 最も困難だったシーンを聞かれると「難しかったのはレズビアンのシーンね。当然ながら、当時の香港はLGBTに対してオープンではなかったの。だから準備のために、女性同士の関係を描いた多くの映像(映画、ドキュメンタリー)やポルノ映像まで観たわ(笑)」と回答。一方、アクションについては「シリアスなマーシャル・アーツではなく、あくまで基本的な訓練を受けたの。作品を見てもらえばわかるけれど、みんなすぐに現場でのアクションに慣れていたと思うわ。実際は監督のカットの速さのおかげで、すぐに次の展開が繰り広げられているように見えるから、女優陣もうまくアクションをこなしているように見えるのだけどね」と正直に明かした。

 女性の殺し屋といえば『キル・ビル』をほうふつとさせるが、クエンティン・タランティーノ監督は今作に影響を受けたのでは? と問われると「タランティーノ監督は女性の殺し屋も好きだけど、人間の体がバラバラになるシーンも好きよね。今作にはそんなシーンがたくさんあるわ」と語り、さまざまなシーンでタランティーノ作品への影響をうかがわせる映画になっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)