イギリスの鬼才エドガー・ライト監督が初めてアメリカでメガホンを取った映画『ベイビー・ドライバー』の主役に大抜てきされたアンセル・エルゴートは、191センチの長身とベビーフェイスのギャップが印象的な注目俳優。そんな彼が取材に応じ、音楽とカーチェイスを融合させた本作の裏側を語った。

 アンセルが演じたのは、強盗チームのドライバーを務める通称ベイビー。計画を立て、それに見合ったメンバーをその都度集めるチームのボス(ケヴィン・スペイシー)が、ドライバーだけはいつもベイビーと決めているほどの運転技術の持ち主だ。超人的なカーアクションの数々は本作の見どころでもある。

 もちろんスタントドライバーがいることを認めたアンセルは、「たぶん世界一のスタントドライバーじゃないかな。すごいよ。グリーンスクリーンは使ってない。全部リアルだから素晴らしいんだ」とその技量をたたえる。「僕だって、そうひどいドライバーでもないよ。たくさんトレーニングしたからね」とスタント用の特殊仕様車を自身で操る場面もあったといい、「危ない動きをコントロールしながらやってみせる術を身に付けたから、普段の運転時もよりしっかりコントロールできるようになったよ」と日常生活にも役立ったと明かした。

 そして、ベイビーに必須なのが音楽。時にはイヤホンからの音楽を口ずさみ、軽快にステップを踏むベイビーだが、影も併せ持つ。運転の際はもちろん、いつも耳に音楽を流し込むのには過去につながる理由があるのだ。その陰影を演じてみせたアンセル自身は、むしろ明るい音楽青年だ。

 「ベイビーは、これまでのミュージカル映画のヒーローの蓄積でもある。僕自身、ジーン・ケリーやジョン・トラヴォルタのダンスが大好きなんだ。恋した時に歌ったり踊ったりするのは男っぽいことではないかもしれないけど、観客とよりつながることができる。タフなアクションヒーローではないんだ」と往年のミュージカルスターに敬意を表しつつ、自身の役柄を解説した。

 アンセルは俳優であると同時にミュージシャンでもある。「この前、たまたま歌手になりたいという人と会った。それならただ、やればいい。みんな恐れすぎだよ」と語るアンセルからは、好きなことを追い続けてここまできた若さの勢いが感じられた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)

映画『ベイビー・ドライバー』は8月19日より新宿バルト9ほかにて全国公開