俳優の浅野忠信宮藤官九郎らが2日、都内で行われた映画『幼な子われらに生まれ』完成披露試写会に出席し、田中麗奈演じる主婦の現夫・元夫という役柄で初共演した二人が、ヒリヒリとした対峙シーンの裏側を明かした。同イベントには田中麗奈、南沙良、鎌田らい樹新井美羽、三島有紀子監督も登壇した。

 本作は直木賞作家・重松清の小説を映画化した人間ドラマ。再婚した中年サラリーマンの信(浅野)が、現在の妻・奈苗(田中)とその連れ子、前妻・友佳(寺島しのぶ)と暮らす実の娘、そして新たに授かった命をめぐり、家族との関係を模索していく姿を描いている。

 現場では三島監督から「一瞬でもお芝居に見えるようなところがないように」とリアリティーを意識した演出があったそうで、浅野は「子供(子役)にすごく救われました。大人としてしみついてしまった何かがあって、それが子供と向き合った時にリアルにそのシチュエーションのままでいてくれた時に我に返ったというか。自分でも想像していなかったリアクションが飛び出るので夢中になりました」と新鮮だった現場を回顧。

 DV癖のある奈苗の元夫・沢田を演じた宮藤は「奥さんや娘の悪口とか、思っちゃいけない事が(台本に)書いてあるので、逆に演じやすかったです」と苦笑いしつつ、劇中では初共演の浅野と対峙するシーンもあり「信と沢田は表向きは正反対ですけど、(お互いに男同士)多分共感していく部分がすごくあるんだろうなと思いながら、(人間性を)試すようなシーンがあってすごくやりやすかったです」とコメント。

 浅野も、同シーンについて「(信にとって沢田は)ある意味真逆な部分もあり、男として共感してしまう部分もあり、同じ女性に向き合った時に僕の感じていた事を言ってくれた瞬間があるとすごく役に入っていけるんですよね。宮藤さんとの時間で、信の自分でも気づいていなかった部分みたいなものを盛り上げてもらう事がありました」と手ごたえを明かす。

 一方、田中は多面的な部分を出していく難役に「今まで見たことのなかった、専業主婦という自分がいたのですごく面白かったです」と満足げ。撮影当時は新婚2か月ほどだったそうで、顔パックしながら夫を迎えるシーンには「その頃はパックして旦那さんを迎えるなんてありえないと思っていましたが、今は旦那さんの前でパックして髪をドライヤーで乾かしながら台本を読んでいるので、結婚ってそういうものなんだなと」とクスリ。

 撮影中には手作りの中華スープを差し入れしたこともあったそうで、浅野から「現場で癒やされました」と褒められると、田中は「初めて50人分くらい作ったので、なかなか味の調整とかが難しかったです」と振り返っていた。(取材・文:中村好伸)

映画『幼な子われらに生まれ』は8月26日よりテアトル新宿、シネスイッチ銀座ほかにて公開