巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督、待望の新作『レディ・プレイヤー1』(4月20日 日本公開)について、演技派俳優マーク・ライランスが、3月12日(現地時間)、ニューヨークのザ・リッツカールトン・ニューヨーク・セントラルパークでインタビューに答えた。

 本作は、アーネスト・クラインの小説「ゲームウォーズ」を映画化したSFアドベンチャー。2045年、人口の大半がスラム街で暮らし、現実から逃避するために「オアシス」と呼ばれる仮想現実の世界に没頭していた。ある日、オアシスの創設者ジェームズ・ハリデー(マーク)の遺言が発表され、オアシスの三つの謎を解いた者に全財産56兆円とオアシスの世界を与えるとあったことから、全世界を巻き込む争奪戦が始まる。

 原作を最初に読んだ時の印象をマークは、「とても楽しむことができたね。原作には映像化する上で、三つのチャレンジがあったが、スピルバーグ監督は原作を読んだことのない人々や、原作の謎を知らない人々でも楽しめるように新たな構成にして、誰もが映画を楽しめるようにしたんだ。原作で気に入っている点は、現実では何が起きているかが明確に記されていたことだね。主人公のウェイドは『オアシス』の学校に通っていて、そこではイジメや暴力がないんだ」と語った。

 2018年の現在、環境汚染や気候変動、さらに(トランプ政権のもと)政治機能不全が深刻になりつつあるが、われわれも今作のような仮想現実の世界にいずれ没頭していく可能性があるのではないか。「人はどの時代でも、時には逃避する場所が必要だし、祝日や週末を利用して、映画を鑑賞したり、ビデオゲームをプレイする必要もある。実際、現時点でもインターネットは、現実逃避やリラックスなどを提供していて、それ自体は悪いことではない。ただ、現実の世界と仮想現実の世界の境界線に問題が生じてきていると思うんだ」と持論を展開し、インターネットは快適な部分も提供してくれるが、危険な要素もあり、現在はより商業的な関心に影響されやすくなっていると警鐘を鳴らした。

 本作のジェームズ・ハリデーは、スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクなど、創造と孤独が共存している人物をほうふつさせるが、「確かに創造と人の孤独は、イコールだ(等しい)と思う。ジェームズが作り上げた『オアシス』の世界は、まるでシーソーのように孤独から孤独へと飛び跳ねている感覚で、ジェームズ自身は他の誰ともつながることができない。われわれの社会でも、彼のように他の誰とも関わらないようにする若者が増加してきているように思うよ」と嘆いた。

 スピルバーグ監督については、「(監督は)映画を何時間も一人で鑑賞したりするらしいから、ある意味で“現実逃避アーティスト”と言えるかもしれないね(笑)。ただ、これまで何度かタッグを組み、彼を知っていくうちに、彼はとても社会に関心を持ち、時代によってはアメリカ大統領ともつながっていた。社会的な動きの多くに関心を持っている人なんだ。だから、現実世界と仮想世界には、彼独自の関係性があると思うよ」と自身の見解を語った。

 では、ウェイドのように仮想現実の世界に行けるとしたら、どのような場所や時代に行きたいかのだろうか。「マリリン・モンローの映画で、彼女と共演してみたいかなぁ。彼女と共にビーチで横になっているのは悪くないね。でも彼女が晩年にふさぎ込んだり、悲しそうにしたりしているのを今の僕らは知っていて、あとどれくらいで亡くなってしまうかもわかるから、もし仮想現実に行けるとしたら、彼女に俳優をやめさせて、彼女の命を守ろうとするかもしれないね」と彼らしいやさしい笑顔で締めくくった。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)