新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、休業要請で営業自粛を余儀なくされたり客足が遠のいたりと、中小企業や個人事業主が深刻な影響を受けている。しかし終息の兆しが見えない不安がありながらも、少しずつ再開する動きが見えている。休業中をどのように乗り越え、今後のためにどのような対策を立てているのだろうか。茨木商工会議所の理事・笹井直木さんに話を聞いた。

― 全体的な動き

茨木商工会議所では、緊急事態宣言が出された4月7日直後から5月までの相談件数がピークで、4〜8月の4カ月間で昨年度の相談者数に達した。相談内容はほとんどが資金調達と販売促進の話で、緊急経済対策として打ち出された持続化補助金や、実質、無利子・無担保で借りられる特別貸付である公的融資のほか民間融資など多数あり、返済スケジュールを立てて複数申請する事業者もいたという。
5月1日から開始した持続化給付金は、最大で法人が200万円、個人が100万円受け取ることができ、茨木商工会議所によると多くは6月から入金が開始し「給付金は全額利益となるので、運転資金として一定の目途が立ったようです」と笹井さん。5月の緊急事態宣言の延長を受けて支給が決定した家賃支援給付金は、7月14日から受付が始まった。「こちらはこれまでの制度に比べて静かにスタートした印象」という。

― 業種ごとの動き

業種の動きの変化として「店を閉めている時間に比例して売り上げが減っていく飲食店や美容院といったサービス業が、最初に動きました。休業期間中は売上がゼロですから、飲食店はテイクアウトに切り替えるなど、早めに対応をする方が多く見られました」。そんな中、少し時期をずらして影響を受けたのは建設業だ。建設の案件は急になくなる訳ではなく、掛取引(代金を後払いにして商品を売買する)となるため、他の多くの業種とは時間差があったという。また小売り業の場合、同じ商品を扱っていても顧客によって売上に大きく差が開いたという。「例えば食の小売りですと、店舗に卸す場合は休業で売り上げは大幅に下がりましたが、個人を相手にした場合は『家飲み』や『オンライン飲み会』などのブームによって、影響を受けなかったようです」

― 取りこぼしの可能性も

商工会議所に相談に来られる企業や事業者は、積極的に情報を収集し制度を利用して今後に向けた対策に取り組んでいるケースが多い。一方で制度を十分に活用できず、廃業に追い込まれる事業者もいることが予想される。笹井さんは「商工会議所や市役所などに足を運ばず、申請書類の作成が苦手な人は、締め切りに間に合わなかった可能性もあります。また同業者同士で情報を共有することが多いので、1人でやっている方にとっても厳しいかもしれません」といい「横の繋がりが大事です」と強調する。

― 試してほしい補助金制度

現在、商工会議所ではコロナ特別対応型の「小規模事業者持続化補助金」を受け付けている。同補助金は事業者の販路開拓の取り組みに要する経費の一部を補助するもので以前からあるが、コロナ禍を受けて重点的な支援を図る。「給付金ではないので必ずしも貰えるわけではありませんが、しっかりと計画書を書けば可能性はあります。また、このように事業計画を出す補助金の中では簡単な方。不採用になったとしても、経験を積むということでも出してみる価値はあると思います」

茨木商工会議所 理事 笹井直木さん。

 


小規模事業者 持続化補助金の採択例

【 美容院 】
シャンプーボトル販売とクレープの販売を組み合わせた移動販売車の購入費など。

【 鍼灸院 】
広告の一環として事業主が本を出版するため、出版にかかる費用や執筆のためのコンサル費用など。

【 電子回路メーカー 】
国内では珍しい電子回路メーカーの強みを宣伝するため、動画作成にかかる費用など。