10月号EAST版の紙面

世界一辛い唐辛子「キャロライナリーパー」 高槻で収穫期を迎える

で紹介した「オーガニックファーム ハラ」代表の末延冬樹さん。紙面には書ききれない、興味深い話がたくさん聞けたので、取材レポートでご紹介!

 

JR高槻駅から車で約40分。木々が生い茂る深い山奥で、芥川上流の美しいせせらぎの聞こえる場所が、キャロライナリーパーの生産地。畑の1つに案内してもらった。

畑の周囲を囲むように芥川が流れる。川の向こう側には加工場が(写真奥)

近隣で農業が盛んな京都では3反以上が当たり前という中、高槻は地形的な制限が大きく、1反前後の狭い土地が目立つ。末延さんが最初に借りた土地は2反にも満たない上に、段状で三角形。大規模農業ができなくても生計を立てる方法を考え、量ではなく質や付加価値で勝負しようと、キャロライナリーパーを選んだ。

末延さんとキャロライン

キャロラインリーパーを手に取る末延さん。例年なら背丈以上になるというが今年はまだ小さめ

それが結果的に、完全無農薬や実をつけたまま完熟させる「樹上完熟」、加工まで手を抜かない現在のやり方に繋がったという。「大量に生産できない分、こだわらないとやる意味がないんですよ」と末延さん。もちろん道のりは平たんではなかった。

丸い形に死神(リーパー)の持つ釜のようなしっぽが特徴。日に弱く、葉に隠れるように実をつける

学生時代にハバネロを育てるなど以前から多少興味はあったが、本格的な農業の知識はゼロ。本やネットなど独学で学びながら、古いトラクターを自分で修理して土地を耕し、業者に頼むような畑の整備も自らやった。無農薬で育てるため、魚粉やカニ殻など安くはない有機肥料を使う。「毎年変えて試しています。5年目になる今年は、天候による被害も大きくて育ちが悪いんですが、実の出来はいい。時間をかけて土を作ってきたので、今は条件の良い場所を紹介されても手放せません」

今年の収穫は始まったばかりでまだ少量(9月中旬)。鮮やかな赤…を通り越して”赤黒い”のは完熟の証!

 

キャロライナリーパーは高槻の環境に比較的合ってはいたが、繊細なので手入れが欠かせず、種まきの2月から収穫が終わる11月まで休む暇もない。一番の悩みの種は獣害に虫食い。イノシシにサル、シカにウサギに鳥――。生き物たちの餌場と化し、葉を全部食べられて茎だけになることも。

 

加工場外観

タマネギを加工場の軒下につるしていたら、サルが目の前で両脇に抱えて持っていったことも

 

「哺乳類は大丈夫なのですが、鳥や虫は辛味を感じないので実を食べてしまうんです」といい、虫に食われた実は、使えないだけではなくキャロライナリーパーならではの痛い副産物も。そもそも世界一の辛さであることを忘れてはいけない。肌に付くと火傷状態、別の唐辛子を使った催涙剤なども実際にあるのだから、まさに”兵器”。生、特に汁が最も辛いため、ジュクジュクになった虫食いを素手で触れたら最後、その日は手が使い物にならないとか。

「一番ツラい」という加工時、肌をガードし防塵マスクという姿は全く大げさではない。誤ってTシャツの上にこぼすと、脱ぐときに顔についてしまうためハサミで切り、手につけばコンタクトを外せないので、装着したまま寝ることも。

粉末キャロライナ

蓋を開けただけで、刺激が目にビシバシ!辛さ160万スコビル?すごすぎてよく分かりません…

取材は9月中旬。例年だと一日中収穫しても採り切れないほどだが、今年は育ちが悪く収穫は始まったばかり。「12月頃に霜が降りるとダメになってしまうので、それまでに成長してくれるといいんですが」と末延さん。平地と違って一気に寒くなるのが気がかりだ。

 

最近は地域のことも考える。「畑のある原地区は芥川の豊かな水に恵まれ、農作物もとてもおいしい。でも後継ぎがいないんです。興味を持つ若者が増えているとはいえ、高槻は地形の問題もあって農業だけで生きていくには難しい。自分がそれを実践できれば、やってみようと思う人が出てくるかもしれない」。最初は1人でスタートしたが、地区の人々や市内飲食店など、横の繋がりも広がっている。「高槻は飲食店がある『まち』と野菜の『生産現場』が近いのがいいところ。その利点を生かしていけたら」

かつてお寺だった加工場。敷地内で苔むした亀が静かに見守る

現在は、一味唐辛子と七味唐辛子の2種類のみを販売。「今、七味はキャロライナリーパーともう1種類の唐辛子は自前ですが、いずれシソやゴマなど他の薬味も作りたい」といい、新たにラーメンやラー油も開発中で、早ければ年内の販売を予定している。「キャロライナリーパーへのこだわりは、国内一の自信があります」。ならば世界一といっても過言ではないだろう。高槻・新ブランドの今後を楽しみにしたい。

商品

コンセプトは「愛ある辛さ」 一味(右)4グラム1,480円、七味 10グラム1,980円

商品は公式通販サイト、アマゾン、楽天の通販のほか、下記飲食店でも購入可能。

・カトマンドゥカリー プジャ(高槻市郡家新町1-30)

・トライバルカリー(高槻市紺屋町3-1 グリーンプラザ高槻3号 館地下1F)

・博多長浜ラーメン 一発屋(高槻市城北町2丁目14−23)

 

ORGANIC FARM HARA(オーガニック・ファーム・ハラ)

072-629-5685

 

おまけ

竹内

ラーメンにかけて食べる筆者。本当に1ふりで十分。刺激的なウマ辛、おいしかったです

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