■人を死傷させれば刑事責任に問われ、懲役、禁固、罰金が科せられる

●行政責任は免停や反則金など、民事は損害に対する賠償が科せられる

交通事故の加害者になると、まず第一に警察に通報して負傷者の救護と2次事故を防ぐ緊急措置を行わなくてはいけません。その後は、事故の状況や内容によって刑事上の責任、行政上の責任、民事上の責任の3つの責任に問われます。

事故の加害者になった際の法律上の責任について、解説していきます。

●事故の加害者が負う3つの責任

交通事故を起こしてしまった加害者には、以下の3つの責任が問われます。

・刑事上の責任

悪質かつ重大な交通事故を起こした場合は、刑事上の責任が発生します。

交通事故で人を死傷させると「自動車運転処罰法」の「過失運転致死傷罪」に問われ、7年以下の懲役・禁固、または100万円以下の罰金に課せられます。

・行政上の責任

比較的軽微な交通事故の場合は、行政上の責任が発生します。

道路交通法に基づき事故の内容によって付与される交通違反点数に応じて、運転免許の停止や取り消し、交通反則金の納付などの処分が課せられます。

・民事上の責任

自賠法(自動車損害賠償保障法)や民法に基づき、被害者に対して損害賠償責任が課せられます。

以下に、具体的な内容について解説します。

交通事故
交通事故
加害者の3つの責任
加害者の3つの責任

●刑事上の責任

相手を死傷させるような重大かつ悪質な交通事故の加害者には、刑事責任が問われます。

適用される法律は、2014年に施行された「自動車運転処罰法」です。これは、2001年の「危険運転致死傷罪」と2007年の「自動車運転過失致傷罪」を併合する形で、より強化された法律です。

最近の悪質な煽り運転で相手を死傷させた場合には、自動車運転処罰法の「危険運転致死傷罪」が適用されます。原則は、被害者が負傷した場合には15年以下の懲役刑、死亡したときには1年以上の有期懲役刑が課せられます。

その他にも、状況によっては暴行罪や殺人罪が適用される場合もあります。

なお刑罰は、事故時の供述調書が警察から検察庁へ送付されて裁判所で確定します。

裁判で有罪が決まった場合、刑罰としては「罰金」と「禁固」、「懲役」があります。罰金の場合でも、有罪なので前科がつきます。

●行政上の責任

比較的軽微な違反には、行政上の責任が問われます。

行政庁(公安委員会)は、事故の状況で決まる違反点数ごとに、免許停止や免許取り消しという行政処分を行います。目安として違反点数6点未満の交通違反に対する処分です。

処分は、ドライバーの過去3年以内の交通違反や死傷事故を起こしたときに課せられた違反点数の合計点と違反回数で、免許停止や免許取り消しの処分が決まります。

・免許停止(免停)

免許の効力が一定期間停止される処分です。停止期間は、30日から180日まであり、過去3年間に行政処分を受けた回数で日数が変わります。

行政処分の前歴がない場合は6点以上で免許停止期間30日、9点以上が60日、12点以上なら90日です。

・免許取り消し

重大違反や何度も違反を重ねる悪質なドライバーに対して免許を取り消します。免許取り消しになる違反点数は、過去3年間に免停になった回数によって変わります。

前歴がない場合は違反点数15点以上、前歴が1回の場合10点以上、前歴が2回の場合5点以上です。

免許が取り消された場合、その後1〜10年は免許の再取得はできません。

●民事上の責任

加害者は、損害を与えた被害者に対して賠償金や慰謝料を払わなければいけません。

交通事故では自賠法が優先的に適用されるので、自賠責保険で補償を行ったあとに民法による損害賠償を行います。なお、自賠責保険は人身事故に限られているので、物損事故は民法による損害賠償請求のみです。


最近多発している煽り運転については、厳しく罰する方向で取り締まりが強化されています。

重大事故の加害者になると、どれだけ刑罰を受けても金銭的な補償をしても、被害者やその家族には償い切れないという現実を念頭に、ハンドルを握らなければいけません。

(Mr.ソラン)