■供給が不安定な再生エネルギーを活用するためには電力の需要と供給の最適化が不可欠

●HEMSは、消費者自らが家庭内の電力エネルギーを効率的に制御管理するシステム

再生可能エネルギーの導入に向けて、スマートグリッド構築への期待が高まっています。スマートグリッドは、ICT(情報通信技術)によって電力ネットワークの最適制御を行う新しい社会インフラです。また、HEMSは一般家庭で電力エネルギーを最適制御するシステムです。

スマートグリッドとHEMSの概念や具体的な内容について、解説していきます。

●スマートグリッドはなぜ注目されているのか

地球温暖化ガスCO2抑制や電力供給源の確保のため、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの導入と普及が急速に進められています。

特に、次世代自動車と位置付けられているEVにとっては、電気を再生可能エネルギーで作ることはWell-to-Wheel(製造から走行まで) CO2量の削減に大きく貢献します。

再生可能エネルギーは、一般の原子力発電や火力発電のような大規模の集中型発電所に比べて、小規模な分散型発電システムなので、電力供給量を要求に合わせて制御することが難しい、さらに電力供給が不安定という問題があります。

再生可能エネルギーのこのような問題を解決するのがスマートグリッドで、世界中で構築に向けた技術開発が進められています。

●スマートグリッドとは

スマートグリッドとは、直訳すると「賢い電力ネットワーク」です。ICTの活用によって、再生可能エネルギーを含めた電力ネットワーク全体の電力収支(需要と供給のバランス)を最適化するシステムです。

スマートグリッドの概念
スマートグリッドの概念

供給側と需要側を双方向の情報ネットワークで連結して、電力ネットワークを最適に制御して運用します。

・供給側:一般の集中型発電所と再生可能エネルギーを利用した分散型電源

・需要側:一般家庭、企業、工場、店舗、充電ステーションなど

例えば、電力需要が少ない時期には太陽光発電を停止したり、発電した電気をEV用の電池に充電する、充電した電池からEVに充電するといった効率的な電力制御をリアルタイムに行います。

スマートグリッドは、さまざまな業界が相互に関連し合って形成される社会インフラ産業なので、電気事業者に加えてICT事業者、住宅メーカー、家電メーカー、自動車メーカー、蓄電池メーカー、再生可能エネルギー発電メーカーなどの連携強化が大切です。

●HEMSとは

家庭内の電力エネルギーを効率的に制御管理するシステムが、HEMS(ヘムス:ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)です。

具体的には、一般住宅で使用している電化製品などの使用状況や実績をモニターなどで見える化して、消費者自ら電力エネルギーを管理するシステムです。

例えば、電力使用の最適化や電化製品の最適制御ができます。電気料金の安い深夜の時間帯に蓄電池に蓄電した電気を、電気料金の高い時間帯に使うように自動的に制御、エアコンの温度設定や照明の明るさを状況に応じて自動で制御できます。

さらに、太陽光発電や蓄電池、EVと連携して発電や蓄電ができるため、突然の停電や災害時の非常用電源として使用できます。

制御対象が地域(Community)の場合は「CEMS」、工場(Factory)の場合は「FEMS」と呼ばれ、いずれもスマートグリッドを構築するために不可欠なシステムです。


HEMSのポイントは、「見える化」と「一元管理」です。目に見えないエネルギーフローを数値化することによって、電気の無駄遣いや使用傾向が認識でき、電気代の節約と快適な住宅環境が実現できます。

日本政府は、HEMSをこれからの住宅の標準装備と位置付けており、2030年までにすべての住宅にHEMSを装備することを目指しています。

(Mr.ソラン)