■日本で普及している電動バイクの多くは、モーター出力1kW以下の原付タイプ

●電動化の採用技術はクルマと同じだが、主な狙いは燃費改善でなく性能向上

クルマでは環境対応車の本命として普及している電動化技術が、バイクにも波及し始めました。バイクの電動化は、原付バイクから始まり、最近になってハイブリッドバイクや大型の電動バイクが登場して話題になっています。

電動バイクの現状について、概説していきます。

●電動バイクの区分

電動バイクの区分
電動バイクの区分

ガソリンバイクでは、エンジンの排気量で車両区分や免許の種類が規定されますが、電動バイクはモーターが発生できる定格出力(kW)で区分けされます。

・モーター出力0.6kW以下 ⇒ 原付第一種(排気量50cc以下相当)

・モーター出力0.6kW超〜1.0kW以下 ⇒ 原付二種(排気量50cc超〜125cc以下相当)

・モーター出力1.0kW超〜20kW以下 ⇒ 普通二輪(排気量125cc超〜400c以下相当)

・モーター出力20kW超 ⇒ 大型二輪(排気量400cc超相当)

●電動スクーターとは

電動スクーター Dio
電動スクーター ホンダDio

クルマでは環境対応車の本命としてEV(電気自動車)が、コスト高の課題を少しずつ解消しながら普及しています。クルマには、厳しい燃費規制や排ガス規制のためにEVにシフトせざるを得ない事情があります。

バイクには、自動車ほど環境対応の強い要求はありませんが、2012年に初めて電動バイクであるヤマハ「パッソル」が発売され、それを追走する形で多くのメーカーから続々と電動スクーターが投入されました。エンジンではなく、モーターを駆動源とする電動バイクは、静かで振動が少なく、短距離を前提とする街乗りには適しており、徐々に人気を得ています。

●電動スクーターの構成

電動スクーターの基本構成
電動スクーターの基本構成

電動スクーターの電動部品の構成は非常にシンプルで、モーターとコントローラー、バッテリ−の、3つの主要部品から成ります。エンジン本体や吸排気系、冷却装置、さらにトランスミッションが不要なことも、電動スクーターの大きなメリットです。

・モーター

一般的には、永久磁石同期モーターをインホイールモーターとして使います。インホイールモーターとは、駆動輪のホイールのハブ内部にモーターを配置して、直接タイヤを駆動させるシステムです。

・コントローラー

アクセル開度に応じてモーターの制御電流を制御します。その他にも、回生ブレーキを利用してバッテリーに充電する制御も行います。回生ブレーキとは、減速時にモーターを発電機として使い、減速エネルギーを回収する方法です。

・バッテリー

鉛バッテリーを使う場合もありますが、通常は高出力で充放電効率が高いリチウムイオン電池を使います。リチウムイオン電池では、車載充電器を装備して自宅や外出先の家庭用コンセントからプラグイン充電する方式を採用しているのが一般的です。充電は、車体からバッテリーを取り外して充電します。

●ハイブリッドバイクの登場

クルマでは見慣れたハイブリッド車が、バイクでも2018年世界で初めてホンダから登場しました。エンジン車にモーターを搭載して、モーターがエンジン出力をアシストすることでレスポンスを高めて強力な加速力を発揮します。

ホンダPCX
ハイブリッドバイク ホンダPCX

ホンダの「PCXハイブリッド」では、エンジン出力にモーター出力1.9PS/トルク0.44kgmがアシストされるので、ベースのガソリン車に対して最高出力は16%、最大トルクは37%向上します。

効果は発進加速や追い抜き加速のときに現れ、その結果、0-100m加速では、ガソリン車に対して所要時間が10%程度短縮されます。

また、ハイブリッドバイク以外にも、大型2輪免許が必要なパワフルなスポーツタイプの電動バイクも存在します。この分野の市販化モデルはすべて外国製ですが、日本の「無限」の「MUGEN 神電」は、マン島TTレースでは6連覇中です。


クルマの電動化が進む中、今後バイクでも普及するかどうかは未知数ですが、最近になってさまざまなタイプの電動バイクが登場しています。

本章では、バイクの電動化の現状について、詳細に解説します。

(Mr.ソラン)