■症状によって何が悪いか推定可能

●バッテリー上がり、セルモーター故障、あるいはガソリン、吸気、火花の供給に問題あり

バイクが始動できない原因はさまざまです。まったくセルが回らない、セルは回るがまったく爆発(燃焼)しない、不規則に爆発するがエンジンの回転が上がらないなどです。原因は、バッテリー系、セル系、燃料系、吸気系、点火系の問題に分けられます。

バイクが始動できない原因について、解説していきます。

●始動不良の原因

始動不良にはさまざまな症状があり、セルが回らない、セルは回るが爆発しない、爆発が不規則で始動できない、始動はできるがアイドルが維持できずにすぐにエンストするという現象に分けられます。

それぞれの症状で原因は異なりますが、大まかにはバッテリーが上がっている、セルの故障、適正なガソリンと吸気、火花が供給できていないというのが主な原因です。

以下に症状ごとの原因について説明します。

●セルが回らない場合

セルスターターの構造
セルスターターの構造

セルが回らないと、もちろんエンジンは始動できません。セルは直流モーターで、バッテリー12Vの電力でギヤを介してエンジンのクランクシャフトを回転させます。

セルが回らない原因は、大別して2つです。

・バッテリーが弱っている、上がっている
バッテリーが劣化したり、長期間放置して電力容量が下がると、クランキング回転が低下、ひどい場合は全くクランキングできません。クランキング回転が低下すると、圧縮行程で吸入空気の圧縮漏れや熱損失が増大するため混合気の温度が十分に上がらず、火花を飛ばしても着火ができません。

・セル本体やスターターリレーなどの不良
セル本体の故障、リレーの不良や電源系の断線などが考えられます。

バッテリーが弱っている場合は、充電で復活させることは可能ですが、完全に劣化している場合は交換するしかありません。一方、セル関連の断線チェックなどはユーザーでもできますが、セル本体が故障している場合は交換しかありません。

●セルモーターは回るが始動できない場合

エンジンが始動するためには、適正なガソリンと吸入空気、火花点火が必要です。この中のひとつでも欠けると、エンジンは始動しません。

キャブレターの基本構造
キャブレターの基本構造

・ガソリンの劣化や燃料ラインの詰まりなど
長期間使わず、放置されて劣化したガソリンは揮発性が悪く、着火しづらいため、始動性が悪化します。また、キャブレターの燃料ラインや噴射弁の燃料ラインが詰まると、適正な量のガソリンが供給できず、始動困難になります。

点火プラグの汚損
点火プラグの汚損

・吸入空気量が減少、または増大
吸気抵抗が増えて吸入空気が減っても、あるいは吸入空気量が増えても、適正な空燃比の混合気が供給されないため、始動できない、あるいは始動後にアイドルが維持できません。吸気量が減るのは、エアクリーナーのフィルターの詰まり、吸気量の増大はマニホールドの接合面のガスケットの劣化による空気の吸い込みが考えられます。

・火花エネルギーの低下や電極の汚れなどで火花が弱い、飛ばない
バッテリーが上がり気味、あるいは高電圧コード類からのリークによって火花エネルギーが低下すると火花が弱い、あるいは飛ばないという不具合が起こります。また、電極にカーボンが堆積したり、ガソリンで濡れた状態、いわゆるプラグが被る状態になると火花が飛びません。

●基本的な操作ミス

単純な操作ミスで始動できないこともあります。燃料タンクのコックの開け忘れやコックの詰まり、電源を強制的に遮断するキルスイッチを誤ってONにするなどです。始動前にまず確認すべき項目です。


始動不良には、クランキングできない、クランキングするがまったく爆発(燃焼)しない、爆発するが回転が上がらない、アイドル回転まで上昇してからエンストするなど、症状はさまざまです。エンジンのある程度の知識があれば、症状に応じて何が不良なのか推定できます。

(Mr.ソラン)